大手テック企業やロボット、AIが日々の生活を一変させつつあるなか、建設業界は革新よりも伝統を優先し、ブルドーザーやクレーンが主役の業界だと見られがちだ。だが21世紀に入り、その考え方は疑問視されるのみならず、時代遅れのステレオタイプになりつつある。
AECO業界は、デジタルトランスフォーメーションをリードし、急速な革新により建設の未来を再構築している。ビルディングインフォメーションモデリング (BIM) やAI主導の機械学習といった先進的なソリューションによって、建設業界とその労働力は効率性、サステナビリティ、インテリジェンスの新時代に突入しつつある。
Autodesk Informed Design for Revitなどのツールによって可能となった、オフサイトでの組立ラインを利用したモジュール建築の飛躍について考えてみよう。その代表的な例が、カリフォルニア州ヴァレーホにあるFactory_OSだ。同社はすでにモジュール建築技術を活用し、建築プロセスのスピードアップ、コスト削減、廃棄物の最小化を実現しており、同時に建設労働者に安定した雇用を提供している。カリフォルニア州ウェスト・オークランドにおける同社の取り組みProject Phoenixは、このアプローチによるダイレクトな成果であり、オートデスクの研究を利用して、費用対効果が高く、環境的に持続可能なアフォーダブル住宅を建設し、二酸化炭素排出量を大幅に削減している。
そして、これは氷山の一角にすぎない。将来を見据えると、その可能性は1990年代にインターネットが登場し、情報へのアクセス無限に広がったときと同じように果てしないものに思える。建築の未来を拓くテクノロジーを見ていこう。
現代の建設の中心にあるのはBIMだ。それは単なるツールではなく、ゲームチェンジャーである。BIMは単一の共有モデル用の一元化されたデータベースを提供し、従来の建築手法の限界に効果的に解消することで、チームがどこにいても連携できるようにする。
BIMの能力は、モノのインターネット (IoT) ––相互接続されたデバイスのネットワーク––や人工知能 (AI) と組み合わせることでさらに増幅される。AIを活用して膨大なIoTソースから情報を抽出および処理することにより、BIMは情報を一元化し、コミュニケーションを強化し、チーム間のコラボレーションを可能にする。また、ユーザーの好みに応じて、最適な環境配慮型の材料や設計を選択するのにも役立つ。BIMとAIを組み合わせることで、より効率的で持続可能かつインテリジェントな建設プロセスが実現し、業界の新基準を打ち立てている。
人工知能と機械学習は、SFの空想から建設における現実的な応用へと移行している。プロジェクトのリスクを予見する予測分析から建築計画を最適化するAI主導のツールまで、これらの技術は最前線で活躍し、業界に大きな影響を与えている。
IoTセンサーからのデータを活用した機械学習モデルは特に印象的だ。空間利用を最適化し、機器の故障を予測することで、ダウンタイムやメンテナンスコストを削減する。人や機器の動きを追跡するリアルタイム位置情報システム (RTLS) は、オペレーションのスムーズかつ効率的な実施を確保する。このような進歩は建設業界を再構築しつつあり、またその他の業界が需要カーブを先取りしながらリソースをより効果的に管理するのにも役立っている。
建設におけるAIの可能性はまだ認識され始めたばかりだが、未来の建設現場はすでにロボット工学と自動化によって形作られつつある。たとえば、トヨタ・リサーチ・インスティテュートでは、ロボットによる複雑なタスクの学習を支援する先進のAIメソッド「ディフュージョンポリシー」を採用している。これは、ロボットの幅広い活動能力を高める大規模行動モデル (LBM) の開発の一助となる。このような技術が建設にさらに組み込まれるにつれて、焦点は、雇用喪失の懸念から、これらのマシンを操作、保守し、マシンと協働できる熟練労働者の需要の高まりへと移行しつつある。
建設業界は世界最大級の産業のひとつであり、原材料の最大消費者でもあるため、サステナビリティ基準を満たすためには効率化が不可欠だ。ロボットと自動化は生産性と安全性を向上させ、グリーンビルディングの実践にも貢献している。自律型機械、3Dプリンター、ロボットアームは、危険で労働集約的な作業を減らすと同時に、工期を短縮している。これらのテクノロジーは建物の建設手法を再構築し、従来の方法よりも迅速、安全、正確、サステナブルなプロセスを実現している。
拡張現実 (AR) 、仮想現実 (VR) 、エクステンデッドリアリティ (XR) などの没入型テクノロジーは、建設プロジェクトを視覚化し、情報をやりとりする方法に革命をもたらしている。これらのツールは、現場作業の正確性と設計効率を高め、ステークホルダーが着工前に建物を見て接触することを可能にしている。
ARは物理世界にデジタルデータを重ね合わせて見ることができ、VRはデザインの視覚化、トレーニング、安全確保のシミュレーション用に完全にバーチャルな環境を作り出す。XRはその両方を融合させ、リアルとバーチャルを組み合わせた体験を提供することで、建設プロジェクトの計画、実行、保守手法の限界を押し広げる。これらの技術は業界においてまだ完全に標準化されているわけではないが、その拡大は雇用創出と技術革新の新たな機会を広げ、建設のエキサイティングな未来を約束する。
当然のことながら、ドローンは建設現場で欠かせないツールとなっている。軍用、商業用、娯楽用として確立された役割を考えればこれは特に驚くことではないが、建設分野に与える影響は非常に大きい。これらの無人航空機 (UAV) 、特に自律型UAVは、人間の直接介入を必要とすることなく動作するため、事実上、ロボット作業員の一部となっている。
建設におけるドローンは通常、用地分析、計画設計、資産管理、プロジェクト報告とコラボレーション、紛争解決の5つの主要カテゴリに分類される。これらのUAVはリアルタイムデータを提供して建設のさまざまな側面を合理化することで、プロジェクト管理を容易にし、計画通りの進行を確保する。
サステナビリティはもはや建設業界において単なる流行語ではなく、建設業界における慣習の未来の指針となっている。建造環境は気候変動の大きな要因のひとつであるため、より持続可能な慣行への転換は不可欠だ。米国環境保護庁によると、サステナブル建築とは、建物のライフサイクル全体を通じて、環境に責任を持ち、資源効率に優れた構造を作りプロセスを使用することを指す。
勢いを増しているアプローチのひとつがプレファブリケーションだ。これは、材料のムダを減らし効率を促進することによってサステナビリティ目標に合致する。Project Phoenixのような取り組みは、モジュール建築が環境問題や住宅問題にどう対処できるのかを例示し、プレファブリケーション技術の進化する可能性を体現している。
業界が気候変動に適応するにつれ、カーボンニュートラルな建物やパッシブデザインが主流になりつつある。よりサステナブルな建築手法の推進は、材料の革新、サーキュラーエコノミー、規制の圧力が原動力となっている。気候変動に対抗すべく業界がサステナビリティを受け入れるにつれ、労働慣行もまた、この変革をサポートするよう進化しつつある。
建設業界は技術的に進化しているだけではない。労働慣行も変化し、より包括的になっている。IPD (Integrated project delivery)、リーンコンストラクション、労働力開発は、建設業界の慣習の未来を形成している。
ロボットや高度な機械など、新たなテクノロジーが進歩を牽引する一方で、その有効性は人間の熟練オペレーターの雇用に依存している––デジタルファーストの考え方を従業員に身につけさせることは、業界の発展にとって極めて重要だ。ダイバーシティとインクルージョンも重要な役割を果たしている。多様な労働力は、イノベーションを推進する新たな視点とアイデアをもたらすからだ。建設、製造、建築のデジタル化が進むにつれ、その変化の舵を取る、新技術に精通した労働者が必要となる。
気候変動やその他の世界的な課題の不確実性に備えて、プロジェクトが今後もその有効性を失わないように守ることはこれまで以上に重要であり、建設業界はそれに対応する必要がある。弾力性のあるサプライチェーン、クラウドベースのソリューション、効果的なコラボレーションは、建設プロジェクトが移り変わる市場に対応し続ける上で不可欠となっている。
建設業界の未来は明るい。しかし、この新時代における成功には、レジリエンスとコラボレーションを兼ね備えたプロジェクトが必要だ。BIMのような手法は、AIを活用したソリューションと組み合わせることで、適応力の指針を示す。これらの技術により、プロジェクトは環境、技術、市場の状況に合わせて進化することができる。
インダストリー4.0が進展し、ロボット、IoT、高度なアナリティクスが普及する中、業界リーダーにとって、初心者ののような柔軟なマインドセットを維持することが極めて重要となる。レジリエンスとコラボレーションの需要は今後も高まり続け、またこのマインドセットを取り入れることで無限の可能性が開かれ、業界を前進させることができるだろう。建設業界の未来は、単により良い建物を建設することだけではない––それは、イノベーションとサステナビリティが両立する世界を創造することであり、よりスマートで、環境に優しく、柔軟性があり、これから起こるあらゆる変化に対応できるよう業界の体勢を整えることにある。
本記事は2015年8月に掲出された原稿を更新したものです。フィル・バーンスタインによる寄稿。
ロゼルはカリフォルニア州サンフランシスコとインドネシア バリを行き来するフリーランスのジャーナリスト、コピーライター、デザイナーです。
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[提供: Kingspan]
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