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世界初のクライメートポジティブな大学を実現するサステナブルなキャンパスづくり

ルワンダでは、世界初のクライメートポジティブな大学がアフリカにおける責任ある成長のモデルを提示しています。


RICAは世界初のクライメートポジティブな大学だ

[提供: Iwan Baan]

RICAは世界初のクライメートポジティブな大学だ

Matt Alderton

2026年8月5日

分: 読書時間
  • 人口増加、都市化、気候変動により、食糧不安を抱えるアフリカの飢餓はさらに悪化する可能性がある。

  • ルワンダは、自国の経済を強化し国民に食糧を供給するため、産業規模での再生型農業を教える大学、RICA (Rwanda Institute for Conservation Agriculture: ルワンダ保全農業研究所) を新設した。

  • 米国の建築事務所MASS Design GroupはRICAのキャンパスをカリキュラム同様サステナブルなものにしたいと考えた。テクノロジーは設計と建設の効率を上げることでその目標の達成に役立った。

ホッキョクグマ、氷河、スキーから、沿岸都市、きれいな空気、サンゴ礁に至るまで、気候変動によって影響を受ける潜在的な犠牲者はかず多く、その被害は深刻だ。しかし世界中の政策立案者にとって、気候変動に関する最大の懸念は、無防備な動物、慈しまれているビーチ、人気の冬の娯楽への影響ではおそらくない。問題となるのは、それが世界の食糧供給にどのような影響を与えるか、ということだ。

国連世界食糧計画は、2023年10月に発表した報告書『Changing Lives:Climate Action for People & Planet』の中で、「気候危機は今まさに世界的な飢餓を引き起こしており、さらに壊滅的な規模の人道支援の必要性を生み出す恐れがある」と明言した。「2022年において、異常気象は12か国5,680万人の深刻な食糧不足の主な要因となった」。

熱波、ハリケーン、山火事、洪水、干ばつなど、世界の食糧生産が直面する脅威は増加し、発生頻度も高まっている。そのため、さらに多くの国でさらに多くの人々に影響が及ぶことは想像に難くない。たとえ富裕国であっても、最悪のタイミングで生じた災害が多種多様な農家に影響を及ぼせば、弱い立場にある何百万もの個人や家族に壊滅的な結果をもたらしかねない。

気候変動による食糧不安が地球規模の問題であることは明らかだ。しかし、この問題を解決するには、政策立案者が地域レベルで行動を起こすことから始めなければならない。

キャンパスはルワンダ農業動物資源省が提供する3,400エーカーの敷地に建設されている
キャンパスはルワンダ農業動物資源省が提供する3,400エーカーの敷地に建設されている [提供: Iwan Baan]

アフリカ––2050年までに人口が倍増し、食糧不足がさらに深刻化すると国連は予測している––は、そういった例に溢れている。特に注目するべき事例のひとつがルワンダにある。2023年、世界初のクライメートポジティブな大学RICA (ルワンダ保全農業研究所) が設立されたのだ。ここでは、環境への影響を抑えながらより多くの人々に食糧を供給できる環境再生型の農法を、新世代の農民に教えている。

よりサステナブルな農業と建築を推進することで、RICAは気候変動がもたらすさまざまな悪影響を軽減するロードマップを示すが、食料不足はその一例に過ぎない。

小規模農家に大きな影響をもたらす

このプロジェクトは、政府の支援と国際的な投資によって実現した。ハワード・G・バフェット財団の資金提供を受け、ルワンダの農業・動物資源省が提供した3,400エーカーの土地に建設されたこの大学は、よりサステナブルでレジリエントな農業を実現するべく、地域に根ざした研究と実践的なトレーニングに基づいた教育を提供することを目的としている。

カラマの農村地帯にある7,500万ドル規模のキャンパスは、MASS Design Groupにより設計、建設された。第1フェーズでは、MASSは遠隔にあるこの用地に水道、電気、進入路などのインフラを整備した。「村がまるで小さな街のようになりました」MASSのルワンダ・キガリ・スタジオで働くデザインディレクターで、RICAプロジェクトのデザインチームリーダーを務めた建築家ノエラ・ニバクゼ氏はこう話す。「道路と照明が整備されただけで、経済活動がすぐに活発化したのが分かりました。午後6時過ぎに照明が点いていることに人々は興奮していました」。

キャンパスは69を超える建物で構成されている
キャンパスは69を超える建物で構成されている [提供: Iwan Baan]

大学の建設は2018年に始まり、キャンパスは段階的にオープンした。ニバクゼ氏によれば、第1フェーズは2019年、第2フェーズは2022年、第3フェーズは2023年に完了した。キャンパスには学生や教職員の宿舎、教室、納屋、倉庫、農産物加工施設など69を超える建物が含まれている。1年生は、ルワンダの農業において圧倒的多数を占める家族経営の農場を模した5エーカーの圃場で、伝統的な小規模農業の実践を学ぶ。2年生と3年生は、卒業後にアグリビジネスを立ち上げて成功させることを目標に、専門的な農業実践と起業家精神を産業規模で学ぶ。

キャンパスとカリキュラムは、不耕起栽培、カバークロップ、輪作、水源管理、資源管理など、保全農業を中心に構成されている。

「ルワンダは国土が狭く、丘陵地帯が多いため、耕作できるスペースは限られています」と、ニバクゼ氏。「もし2050年までに人口が倍増すれば、耕作地はさらに減少します。このカリキュラムの起点はそこにあります。今より少ない土地で、サステナブルな方法で、より多くのものを生産するためにはどうすればよいのでしょうか?」

地球を活用することで地球を守る

RICAをそこで教授される農法と同じようにサステナブルな建築にするというのは、MASSのアイデアだった。「サステナブルであることを求められたわけではありませんが、ローカーボン工法での建築が可能であることを実証することは当社にとって重要でした」ニバクゼ氏はこう話す。

2030年までのカーボンニュートラル達成に合意するアメリカ建築家協会の「2030コミットメント」の署名者として、MASSはあらゆる機会を通じてサステナビリティを設計に取り入れてきた。このキャンパスは全体がオフグリッドで運用されており、使用エネルギーの100%を敷地内の太陽光発電施設で賄っている。すべての水は隣接する湖から調達され、敷地内の上下水道処理施設で浄化されている。雨水は在来植物で構成された自然のバイオスウェールにより管理され、また建物は自然光と通風を最大化するように配置されているため、機械換気や人工照明の必要性は実質的に排除されている。さらに、長期的な森林再生への取り組みにより、RICAは2040年までに二酸化炭素の吸収量が排出量を上回るクライメートポジティブとなる予定だ。

最も印象的なのは、MASSが材料の96% (重量ベース) をルワンダ国内で調達し、輸送による二酸化炭素排出量を劇的に削減したことだ。これには什器や家具も含まれ、85名のルワンダ人職人、起業家、協同組合の協力を得てMASSが設計、製作した。合わせて3,300を超えるアイテムが生産されたが、これらは現地でメンテナンスや修理が可能なため、長期的な廃棄物の削減につながる。輸入品であれば、壊れたら廃棄となり、交換されるのが常だ。

現地調達された材料には現場の土と粘土から作られた圧縮土ブロックやテラコッタ製屋根瓦などがある
現地調達された材料には現場の土と粘土から作られた圧縮土ブロックやテラコッタ製屋根瓦などがある [提供: Iwan Baan]

現地調達された材料には、現場の土と粘土から作られた版築や圧縮土ブロック、テラコッタ製屋根瓦などがある。土はルワンダを含む世界中で何千年にもわたり使用されてきたが、ルワンダでは安全性の問題から使用が禁止されていた。代わりに、サステナブルとは言えない手法で生産されたコンクリートブロックや粘土レンガが普及していた、とニバクゼ氏。彼女はまた、安全性に関する記録が芳しくない理由は、この材料が技術者や訓練を受けた石工の助けを借りずに住宅建設に使用されたことが主な原因であると付け加える。「圧縮土ブロックは2019年に限定的な住宅用途に対して合法化されました。MASSはその後ルワンダ政府やその他の関係者と協力し、使用に関する新たな基準やガイドラインを作成しました」。

圧縮土ブロックはサステナブルな選択肢だ––鋼鉄よりもエンボディドカーボンが大幅に少ない。また、同大学の使命を象徴する選択肢でもある。保全農業とは健全な土壌を維持することが重要であるため、生徒が管理者となるものと同じ土壌を使用して建設することは理にかなっていると、ニバクゼ氏は話す。MASSはまた、地元の石材と、ルワンダ、タンザニア、南アフリカから調達されサステナブルな方法で管理された木材を使用した。前者は建物の基礎、後者は屋根の構造に使用されている。

 

テクノロジーは効率良くインパクトを生み出す

テクノロジーが成功の鍵であったと、ニバクゼ氏は話す。特に役に立ったのは、Autodesk RevitBIM360だ。前者は、プロジェクト情報を一元化してリアルタイムでのコミュニケーションを可能にすることで、建築家、エンジニア、施工会社間の分野を超えたコラボレーションを可能にした。後者は、現場建設管理プラットフォームとして機能し、コミュニケーションの追跡、モデルのレビュー、作業スケジュールの管理に活用された。

MASSはまた、従来の設計作業にはAutoCADを使用し、雨水管理システム、雨水利用、節水型造園など、サステナブルな水管理戦略の設計にはCivil 3Dを使用した。

「全体として、AutoCAD、Revit、Civil 3Dは、設計者が建物の性能を最適化し、環境に優しい材料を選択し、資源を効率的に管理し、サステナビリティ目標達成のために効果的に連携できるようにすることで、サステナブルな建物の設計と建設において重要な役割を果たしています」と、ニバクゼ氏。また、すべては時間の節約に尽きるとも付け加える。コミュニケーション、アドミニストレーション、文書管理を合理化することで、建築家は、プロジェクトによる環境への影響を低減するような方法で設計上の課題を解決することにより多くの時間を費やすことができる。

これはRICAの例に当てはまることであり、他の多くのプロジェクトも該当する可能性がある。「自分の建物が環境に大きな影響を与えないようにするために時間をかける人が増えることを願っています」と、ニバクゼ氏。「これはルワンダだけの話ではありません。アフリカ大陸全体、そして世界が、サステナブル建築や材料の現地調達を、地元の文化と遺産を象徴する美しく素晴らしいものとして、受け入れられるようになることを願っています」。

Matt Alderton

Matt Alderton について

マット・アルダートンはビジネスやデザイン、フード、トラベル、テクノロジーを得意とするシカゴ在住のフリーライター。ノースウェスタン大学の Medill School of Journalism を卒業した彼の過去のテーマは、ビーニーベイビーズやメガブリッジからロボット、チキンサンドイッチまで多岐に渡っています。Web サイト (MattAlderton.com) からコンタクト可能。

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