Fusion の拡張 CAM 機能が高精度な同時 5 軸加工を実現

Takahito Naito 1月 20, 2026

若手社員が新たな方法で習熟する Autodesk Fusion の製造業向け機能

半導体製造装置や航空宇宙の分野には、サブミクロンのオーダーによる超高精度な部品が不可欠です。その製造には同時 5 軸加工など高度な加工技術が必要となるため、最新鋭の機器だけでなくソフトウェアに精通した人材も不可欠。愛媛県松山市で精密加工部品を製造する「株式会社ユタカ」は、その育成に新たなアプローチで取り組んでいます。

左から株式会社ユタカ 製造部 第二製造課 課長の長田 勝敏氏、同課MC2-1係の田中 柚衣氏と武田 渉氏

複雑な形状の高精度な加工に長年 CAM ソフトウェアを活用

1977 年創業のユタカは、半導体や航空宇宙関係の部品製造で飛躍的な発展を遂げ、現在は 9 棟の工場に最新鋭の機器を含む 160 台以上の生産機械を配備しています。その高精度な加工技術には、90 年代から CAM ソフトウェアが重要な役割を果たしてきました。

同社製造部の第二製造課は、部品製造に 5 軸マシニングセンタを活用。顧客から受け取った図面や 3D モデルのデータに基づく最適な加工構想の立案や治具設計から、CAM プログラム作成、段取り加工、現場での測定まで、製造にかかわる作業を一貫して行っています。

同課の長田 勝敏課長は「CAM の普及により、5 軸を含めた複合機向けプログラムの作成や、3D データを直接読みこんで活用できるようになりました」と語ります。そのデータを 3 次元測定器や画像測定、3D スキャナでも活用することで、品質保証も含め、より複雑で高精度な加工が可能。CAM による多彩なツールパスコマンドやシミュレーション機能により複雑な 3 次元形状加工や多面割り出し加工を実現しています。

同時 5 軸加工により、3 軸加工では難しいタービンブレードなど複雑な 3 次元曲面やアンダーカットにも対応できます。一方で 5 軸加工機の導入にはコスト面のハードルだけでなく、プログラミングとデータ作成の複雑化や精度管理の高度化、そして専門知識を持った人材の育成なども課題となります。

株式会社ユタカ 製造部 第二製造課 課長 長田 勝敏氏

Fusion の優れたアクセス性と CAM 機能のさらなる強化

さらに高価な CAM ソフトウェアの導入も必要です。「以前のソフトは非常に高額で、必要に応じてワンライセンス増やすことが気軽にはできませんでした」と言う長田氏は、保守費用や購入金額も上がり続け、カスタム性も限られていることで、モノづくりを決まったやり方で覚えることしかできないという弊害もあったと述べています。

同課は 2 年ほど前に Autodesk Fusion を本格導入。標準機能として用意されている 4 軸および 5 軸の位置決め加工へ Manufacturing Extension を追加して同時 4 軸・5 軸加工への対応を拡張することで、従来の CAM ソフトウェアに匹敵する高度な製造業向け機能を実現しています。

ポスト プロセス後のNCデータの編集が不要になったことで、少なく見積もっても 2 割、長いプログラムだと 3 割程度の時間が短縮。自発的な学習が増えているのも大きな変化です。 
— 株式会社ユタカ 製造部 第二製造課 課長 長田 勝敏 氏

Fusion の導入により、CAM へのアクセスの自由度も大きく向上。クラウドベースのためどこからでもアクセスでき、機械のそばで 3D モデルやツールパスを確認したり、シミュレーションを確認したりできるため、プログラミング室と現場との行き来も不要になりました。

NC データが編集レスになり大幅な時間削減を実現

従来の CAM ソフトウェアでは、加工工程データを自社の工作機械向けにポスト プロセス後、NC データを都度編集する作業が必須でした。Fusion ではオープンソースのポスト プロセッサが多数提供され、設備に合わせたカスタマイズ性を実現。個々の機械に合わせたチューニングができるため、ポスト エラーやポスト プロセス後の NC データ編集、ドライランによる確認作業などの面倒な手間と時間が大幅に削減できます。

こうした効率の良さが、CAM を使い始めて数年という若手社員に良い影響を与えました。同課 MC2-1 係の武田 渉氏は「これまでは機械ごとにポスト プロセス後の NC データの修正が必要でしたが、Fusion では出力された NC データをそのまま機械に入れるだけで加工が開始できるのを見て、自分でも触り始めました」と言います。「編集が必要無いのであれば、それだけで使ってみる価値がある。絶対楽になる未来が見えていました」。

株式会社ユタカ 製造部 第二製造課 MC2-1係 武田 渉氏

フォーラムや動画を活用してユーザー自らが機能を習得

新たなソフトウェアの導入には時間と手間が必要になりますが、長田氏は Fusion の社内での普及は容易だったと語ります。その大きな理由が、分からないことをすぐにネットで検索して調べられる点でした。「従来は社内の先輩やメーカーの営業さんに聞くか、サポートを受ける必要がありました」と、武田氏は言います。「Fusion は非商用版を使っている個人も多く、たくさんの動画が出ていて、そうした情報を自分で調べられる。そこは他のソフトとは全く異なっていました」。

社内でも早い段階で Fusion の CAM 機能を活用し始めた武田氏は、それを普及する役割も担うようになりますが、「実際には動画の紹介だけで済ませられることが多かったですね」と言います。1 年ほど前から Fusion を使い始めた同係の田中 柚衣氏も、そうして CAM に習熟したひとり。YouTube にある使い方の動画や、操作中にカーソルを合わせると機能が解説されるツールチップなどで学びやすかったということです。

「以前のソフトでは同時 5 軸加工を行う際の設定項目が多く、理解に時間がかかっていました。悩んでいた時に Fusion の導入が始まり、同時 5 軸で回しながら加工するパスを出すのも、すごく簡単になりました。これまで、編集が長い時は 2 時間を超えていましたが、編集無しに機械に入れて動かせるのですごく楽になり、内径のバリ取りなども手軽にできるようになりました」。

複雑形状をミスマッチなく作成でき、また従来は不可能だった場所の面取りも可能となる同時 5 軸加工により、手仕上げが必要な箇所や作業時間が削減されました。工程集約と生産効率の向上が実現し、工具を切削面に適切な角度で当てられることが高精度・高品質にも貢献しています。現在は CAM で行う作業の 9割が Fusion に移行し、同社の「絶対に妥協しない」全品検査・全品保証という高いハードルをクリアしています。

5軸加工機でアルミから複雑な形状を削り出したサンプル

「ポスト プロセス後の NC データの編集が不要になったことで、少なく見積もっても 2 割、長いプログラムだと 3 割程度も時間が短縮できています」と語る長田氏は、自発的な学習が増加したことも大きな変化だと言います。「以前は先輩社員を中心に OJT を行い、CAM を学んでいました。Fusion になると、自分で勉強してそれを共有する人が出てきて、入社年数の浅い人同士での情報共有も増えました。データがクラウドで共有されているので、工場間でのデータのやり取りを含めて作業が非常にやりやすくなったのも、とても良い点ですね」。

高度で高精度なツールパスの作成と分業化、共有化、一元管理の実現

武田氏は直感的な操作や高い修正能力など、Fusion の CAD 機能も高く評価しています。「以前は元図となったスケッチを変更すると、CAM で線を書き直してやり直す必要がありました。Fusion は CAD と CAM が統合されているので、スケッチの編集に追従して CAM も変わる。そこが便利ですね」。

また長田氏は「Fusion を使って設計している企業からアセンブリのデータを Fusion で受け取った際には、設計や組み立ての状態などを把握して、そこから部品だけ抜き取ってパスを付けることができました」と言います。「お客さん側でも部品に展開する手間が省けるのがメリットでした」。

航空機産業向けブレード加工で、治具設計をかなり作り込み、加工原点設定や設計基準などを意識した設計を行う必要があった際にも、Fusion の強みが発揮されたと言います。この部品は自由曲面のため加工範囲・工具接触位置をシビアに設定する必要がありましたが、Fusion によってプログラマーの意図通りのツールパスを生成。CAD から CAM のワークスペースへシームレスな移行ができることも高く評価されました。

Fusion の導入は、部署内での作業の分業やアイデアの共有、データの一元管理にも貢献。業務内容に応じた柔軟なライセンス管理や、簡単なパラメーター設定で高度かつ高精度なツールパスの作成を実現しています。従来のソフトウェアで問題となった、過去のデータがバージョン違いで開けないような事例もなく、データを安心して保管可能。Fusion の製造業向け機能は、部署内でのデータやアイデアの共有化、一元化を目指す全ての企業にお勧めできると述べています。

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