Unable to find request data. Please check your configuration.


ES CON FIELD HOKKAIDOの完成イメージ

北海道ボールパークFビレッジ エスコンフィールド 施工BIM

Yasuo Matsunaka

2025年10月23日

分: 読書時間
施工BIM ダクト加工・製作
設計データをもとにすることで効果的なダクト加工・製作が実現

北海道ボールパークFビレッジ内に2023年3月開業のES CON FIELD (エスコンフィールド) HOKKAIDOは、冬季にはマイナス20度に到達する北海道北広島市の厳しい環境にさらされる。スタジアム部分の延べ床面積約12万平米、開閉式屋根の最高部は高さ約71mという大規模スタジオの全体工期厳守を実現するため、プロジェクトに参加する企業には施工BIMの活用と技術連携が求められることとなった。

「さわやかな世界をつくる」という経営ビジョンを掲げる空調設備業界のリーディングカンパニー新菱冷熱工業は、環境エンジニアリング企業として、生産性向上や働き方改革などを通じた新たな成長を目指している。ES CON FIELD HOKKAIDOのプロジェクトには大林組の設備協力会社として参加し、ダクトのファブリケーションやクラウド上での進捗・品質管理など、BIMデータを意欲的に活用する数々の試行に取り組んだ。

ファブリケーションで実現する生産性向上

A view of ductwork
設計データをもとにすることで効果的なダクト加工・製作が実現

同社デジタルトランスフォーメーション推進本部 デジタル推進企画部 BIM課の佐藤啓明氏は、「ダクトのBIMモデルのデータを、ダクト製作機械まで人を介さず流せるようにすることで、間違いや手戻り、それに起因する製作ロスを防ぐことを目指しました」と語る。「当社にとっても初めてに近い取り組みであり、またダクト製造の協力会社や工事業者にとっても初めての取り組みでしたので、まずは一部のダクトで試行し、問題点などを洗い出して次に繋げようと考えました」。

実際の作業では設備CADで作成された図面をもとにAutodesk Revitのジェネリックファミリでパーツが描かれ、それをファブリケーションのパーツに変換したもの (ITM) がダクト加工機へと入力された。「ダクトは、どれくらいの長さで製造するかが重要であり、また大きな継手などは現場への搬入のため分割が必要になるので、製作側のルールなども把握した上で、なるべく端材が少なくなるようにモデリングを行いました」。

従来の手順では、まずはダクト業者がサブコンから受け取った図面やCADデータをもとに新たな図面を作成し、そこから部材の製作図を作ってダクト製造機械へ手入力する必要があった。その過程で人為的なミスが起こる可能性があったが、今回のファブリケーションではデータの受け渡しにより、そうした問題が起こらないのが最大のメリットとなった。初めての取り組みのため、ダクト加工機メーカーのRevitアドオンにより作成した原寸図には通り芯からの距離の表示がなかったなど改善すべき点はあったが、それは今後アドオン改良時のコミュニケーションで解消する問題だという。

「これまでは施工図を業者に渡すところまでがサブコン側の仕事で、ある程度精度の低い施工図でも、ダクト業者のノウハウで何とか納めてくれていました。既に人手不足、職人不足の時代になってきているので、今後はダクト業者任せでなく、ダクトを吊り込むまでの全体の作業の中で、いかに労力を圧縮できるかが課題になってくると思います」と佐藤氏。「作業の圧縮、生産性の向上を業界全体で目指す必要があり、ファブリケーションはその実現のためのかなり有効な手段のひとつだと考えています」。

ステータス管理システムによる進捗管理

施工BIM ダクト 設置
スタジアム内にダクトが設置された現場

大規模かつ複雑な構造のエスコンフィールドの施工に関して、同社デジタル推進企画部施工プロセス課主任の齊藤恒英氏は「いろいろなところでいろいろな担当者が進捗管理することになるので、それを統合して管理できるプラットフォームが必要だと考えました」と述べる。「そこでAutodesk Platform Services (旧称Forge) のツール作成機能を活用して、現場資機材のステータス管理システムを開発しました。もともとRevitで全部を書き上げていたので、BIM Collaborate Proを活用して、登録したモデルをブラウザ上で見られるようにしています。空調の系統毎に進捗管理が可能で、それを数値で見られるようにしました」。

「現場では従来の進捗管理のように図面に色を塗ったり写真を撮ったりしてもらい、それをバックオフィスに渡して、そこでステータスを付けます。今回は一部のフロアだけで試しましが、今後は例えば全フロアに定点カメラを置いて、特定の時間に全フロアの写真を撮れるようにするなど、現場サイドの環境づくりが必要だと思います」と齊藤氏。「現場のリソースは限られているので、バックオフィスなど現場の外のリソースをうまく使えるように、現場の情報を収集できるようにしたいですね」。

このステータス管理システムは、今回のプロジェクトがきっかけに作られたシステムだが、その開発と機能追加は継続的に行われている。「例えば検査機能では配管継手検査、接続チェック、フィルター引き抜き確認などユーザーがカテゴリーを選択して対象にできるので、継手検査を選んで配管だけを対象としてチェックするなど、出来高確認や各種機能検査も兼ね備えています」。

情報をまとめる、共有することのメリット

施工 BIM CFD
北海道の過酷な環境のもとで大規模スタジアムにおける暖房の立ち上がりを確認

BIMデータは、風量測定などにも活用されている。Revitで作成したモデル内にある制気口の風量データを利用して、風量測定データシートの自動作成を実施。またポンプの揚程、配管内流量、配管の摩擦係数などを設定して、配管システムの任意値の位置での管内圧力の可視化、試運転への活用も行われている。BIMモデルの同一での管内圧力と実測値が大きく異なっている場合には、施工に何らかの不具合があったと推測できるなど、試運転に活用することで圧力トラブルの発見手法が確立されることになった。

Revitの躯体データをもとに、冬季の暖房の立ち上がりの検証も行われた。気流シミュレーションを担当した同社イノベーションハブの對馬有紀氏は、「現地は北海道なので、外気がかなり冷えた状態から暖房の立ち上がりにどれくらいの時間がかかるのかを把握するためにCFDを活用しました」と述べる。「通常は一部屋だけを解析することが多いのですが、今回は複雑な形状の建屋全体を解析するという、非常に難易度の高い作業になりました」。外気によって冷やされた躯体によって熱が奪われるため、Revitの形状データをもとに、モデル内の全ての部材に物性として密度、比熱、熱伝導率を入力。「外気をマイナス6.2度に設定した状態から、24時間程度の立ち上がり時間で、設計温度の17度をクリアできるだろうという結果になりました」。

「これまでパソコンやサーバーのスペックの問題で難しかった大規模な物件へのCFDへの実施が工夫次第で行えるようになってきました。今後は、現場からダクト、ゼネコンから駆体のデータを受け取って作業するなど、作業の分担や複数データの統合により、大規模物件での実施も増えると思いますし、今回はそのテストケースになったと思います」。

今回のプロジェクトでは、大林組が用意したBIM Collaborate Proにより、Revitモデルを用いた協力業者とのやり取り、他システムとのデータ連携などにより、協力会社の負担の軽減や、進捗管理の手間の削減、試運転時のヒューマンエラーの解消などが実現できた。「ファブリケーションに関しては、今後は弊社の現在建て替え中のイノベーションハブ本館などでも採用したいと考えています」と、齊藤氏。「BIMを活用するメリットは、CDE環境で情報をひとつにまとめる、情報を共有することあると考えています。またBIM Collaborate Proの中にデータが蓄積されることで、コンテンツをPower BIで分析するような活用にも取り組んでいければと考えています」。

Yasuo Matsunaka

Yasuo Matsunaka について

オートデスクのInternational Content Manager for APAC & Japan。「Design & Make with Autodesk」コンテンツハブの日本語版、韓国語版、中国語 簡体字版を担当。

Unable to find request data. Please check your configuration.