竹とクラウドが切り拓く最新のグリーンビルディング技術への道
- 世界の温室効果ガス排出量の39%が建造環境から生み出されているが、BamCoreは従来の木造枠組み構造よりサステナブルなハイブリッド竹壁パネルで建設業界における変革を推進している。
- BamCoreが、プロジェクト毎に全ての建設関係者を1つのデジタルモデルに結びつける現場管理アプリを開発。
- プリファブリケーションされ、ナンバリングされた壁パネルを使用することで、このアプリはBamCoreハウスの施工を従来工法より迅速かつ低コストにしている。
地球人口が指数関数的に増加する中、建築・エンジニアリング・建設 (AEC) 業界は、建物の需要に追従できるよう努力を続けている。この業界は、高い材料費や労働力不足、長期にわたる建設スケジュール、膨大なカーボンフットプリント (世界の温室効果ガス排出量の39%を占める) とも闘っている。そうした状況を打破し、新たな材料とグリーンビルディング技術を用いることで、デジタルかつサステナブルな建設への道を切り開こうとしている企業がある。
BamCoreは、自然とテクノロジーが交差させた革新的なソリューションを開発している。北カリフォルニアを拠点とする同社は、自然界で最も強く成長の速い、竹とユーカリの2種類の繊維を収穫し、木造枠組み構造の住宅以上にサステナブルで、その組立も50%迅速に行える構造パネルを製造している。従来の建設ワークフローはサイロ化されていることが多いが、BamCoreはクラウドベースのプラットフォームを活用して、関係者全員が同じ3Dモデルを基に作業可能としている。BamCoreの使命は、ゼロカーボンを超える未来とより効率的な建設プロセスを、建設プロジェクト毎に着実に創造することである。
[ビデオ字幕]
ザック・ジマーマン氏 (BamCore CCO): 世界では1日あたり1万4,000棟の建物が新たに建設されており、それに使われている材料は、我々の業界がその大部分を占める膨大なカーボンフットプリントの一因となっています。
ハル・ヒンクル氏 (BamCore CEO): 建物は、いまだに大気の最大の炭素汚染源になっています。より効率的な運用のため、多くの取り組みが行われていますが、それでも世界の温室効果ガスの10%以上が建設に由来しており、それはエンボディド カーボンと呼ばれています。
BamCoreは建設業界に、自然界で成長が最も速く、最も強靭な構造繊維を導入し、世界中の建造環境を脱炭素化することを目標としています。
ジマーマン氏: それを竹材と厳選されたユーカリの利用で実現します。これら2種の植物繊維は、自然から与えられた、極めて高速な再生能力を有しています。竹は1日で90cm近くも成長します。1ha、1万平米の竹材が提供する骨組材は、実に住宅4棟分に相当します。松材であれば1棟分だけです。
ヒンクル氏: 木材と比較すれば、その差は歴然たるものです。木の炭素隔離には25年、50年、75年もの歳月が必要になります。成長の早い竹材のような繊維を使えば、建物に蓄えられた炭素が1年で再生されます。
ジマーマン氏: 我々の竹とユーカリを使ったハイブリッドプライムウォールシステムは、二重パネルでスタッドレスです。中空壁の木材の80%以上を除去していますからね。それによって、より強くて環境に優しい、断熱性と防音性に優れた製品を作れます。他の一般的な骨組構造ソリューションと比較しても、現場でずっと効率的に施工できます。
従来の骨組構造では軟材による、2x4や2x6のスタッドが使われています。
BamCoreは、こうした骨組構造の考え方に挑戦を挑み、運用・施工時の二酸化炭素排出へ多角的・効果的に取り組んでいます。設計段階では、オートデスクの支援を受けて開発した、独自の設計/入札/施工プラットフォームを活用していますこのツールは、リソースの利用を最適化した、効率の高い設計を可能にしてくれます。
ヒンクル氏: より環境に優しい材料の活用を目指すのであれば、顧客のその決断を支援しましょう。オートデスクのプラットフォームを通じて炭素関連の決定を行い、それを顧客に提供することができます。これまでに実行したことでなく、今後何が可能かを分析するのです。
建設の際は特許取得のLOBIC (Load Optimized Biogenic Industrialized Construction: 荷重最適化生体工業化建設) の技術を活用することにより、等級と荷重に応じて構造パネルを配置できます。
プレファブリケーションに重点を置くことで、建設プロセスと現場をシンプルにできます。
高度な専門技術が必要にならないようよう、正確でユーザーフレンドリーな設置要領をパネル表面に記載しています。
サム・ドラウン氏 (Concord Homesオーナー): Brylee Farmsは、ユタ州イーグルマウンテンに開発された162戸のタウンホーム プロジェクトです。竹製品を念頭に置いた設計を行いました。一般的な建設とBamCoreを使った場合の最大の違いとなるのがスピードで、とにかく作業が迅速です。
エンジニアリング済みのパネルなので、複雑な建築設計図を何枚も確認して、せん断壁の釘打ちパターンを理解する必要はありません。パネル上に直接印刷されています。これで骨組にかかる時間を少なくとも1/3は節約でき、キャリーコストも削減できます。
ジマーマン氏: この現場アプリは驚異的なツールです。これによって施工者は現場で構造のデジタル ツインを確認し、その立ち上がりを分析できます。
ダニエル・エスコバー氏 (骨組工、現場監督): 完成形を確認できれば、ずっと楽になります。その場でズームして、パネルの間の骨組を確認し、柱や骨組みの位置を理解できます。本当に気に入っています。すべてをスマホのアプリだけで確認できますからね。
ヒンクル氏: 新世代の3D BIMモデルをクラウドで共有できます。他の方法では不可能だった範囲や規模での共有が行えます。
ドラウン氏: 竣工後は 従来工法との差は見つけられないでしょう。唯一の違いは、断熱性に優れているためエネルギー効率が上がり、遮音性も高いということです。光熱費も下がります。よりサステナブルな製品を使用し、プロセスの効率を高めてコストを抑える、こうした革新的な取り組みの増加を願っています。
ジマーマン氏: BamCoreの取り組みは建物の建設に留まらず、業界と地球の未来を形作っています。よりスマートで、環境に優しく、サステナブルな建物を、ひとつひとつ建設していきます。