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水中建築をさらなる深淵へと到達させるための7つの方法

水中 建築 seahorse villas ドバイ

宇宙と海に共通するのは、その多くが未開の領域であることだ。地球の表面の2/3は海に占められているが、アメリカ海洋大気庁 (NOAA) の推定によると、その80%が未踏または未発見だという。だが幸運なことに、世界の深海は既に宇宙よりずっと到達しやすい場所になっている。ではSFに登場するような海中での生活は、果たして現実のものとなるのだろうか?

現時点では水中建築のほとんどが接客業に関連するもので、高級ホテルや邸宅、レストランが世界の海に点在している。だが今後、人口増加と都市開発によって陸上での生活の限界が明らかになると、海洋が未来の都市の新たな可能性を提供することになるかもしれない。ここでは世界の独創的な水中建築を、未来の水中都心のコンセプトとともに紹介しよう。

1. 世界初の水中バンガローがオープン

モルディブのコンラッド・モルディブ・ランガリ・アイランドの2階建てヴィラ、ザ・ムラカは1泊5万ドル (約560万円) で滞在を楽しめる。このヴィラは、インド洋の海上と水中に建設されたものだ。総重量600tの構造物はアクリル製で、日本の水槽メーカーがシンガポールで建設。その後、特注の船でモルディブへと運ばれ、海中に沈められてコンクリート製の杭で固定された。このホテルは、バンガロー周辺の珊瑚礁 (ムラカはモルディブの公用語ディベヒ語で珊瑚を意味する) への影響を最小限に抑えるため、スタッフとして数名の海洋生物学者も雇用している。

水中 建築 コンラッド ムラカ
1泊5万ドルのザ・ムラカの一室からの景色 [提供: Conrad]

2. ラグジュアリーを再定義するドバイのFloating Seahorse Villas

ドバイの沖合約4kmの地点にあるFloating Seahorseヴィラは、住宅所有者が海上の区画も購入できることを示す初のケースとなった。デザイン事務所Kleindienst Groupによると、このプロジェクトは5,000時間に及ぶ研究調査と13,000時間に上るデザインとエンジニアリングの結果だと話す。現在、80棟の邸宅の完成が間近に迫っている。主寝室は海中にあり、46平米の人工珊瑚の海中庭園を眺めることが可能。この庭園は、絶滅の危機に瀕しているタツノオトシゴの個体数回復の一助となるように作られたものだ。居住者は、水上ベッドや海上デッキも楽しむことができる。

3. 温室が海中農園にもたらす大きな変革

Ocean Reef Groupのイタリア人ダイバーたちが、イタリア・ノーリ沖にニモの庭 (Nemo’s Garden) という名の、世界初の水中温室を構築した。その名もだ。この温室は、水資源不足と、さらに増大する世界人口への食料供給という課題へ対処する実験の一環として建設されている。

この海中農園は空気を充填した6つの透明なプラスチック製タンクで構成されており、各タンク内部の温度と湿度は一定に保たれ、高濃度の二酸化炭素によって豆類やイチゴ、バジル、レタスといった作物の発育に理想的な環境を実現。タンクに付けられたセンサーが気温や照度、湿度、二酸化炭素、酸素のレベルをモニターしている。

4. 採石場跡の壁面に建設された中国のラグジュアリー ホテル

インターコンチネンタル上海ワンダーランドは、上海の南西32kmにある採石場跡に作られた地下ホテルだ。全18フロアのうち16フロアが地下にあり、最下部の2フロアは深さ10mの水槽に埋まった形になっている。この佘山の採石場跡に建てられたホテルは、環境に配慮する旅行者のホームベースを目指すものだ。グリーンルーフ (緑化屋上) に加えて、地熱・太陽光エネルギーを独自に生成することで、ホテル運営に必要な電力を供給する計画もある。

5. エジプトが建設中の海中博物館

エジプトでは、地中海の港市アレクサンドリアに沈む貴重な史跡の保護方法の研究が政府関係者によって1996年に開始されて以来、海中博物館建設のアイデア (英文情報) が議論されてきた。この遺構は現在、湾の汚染や盗難、漁船の錨などの脅威にさらされている。

アレクサンドリアのアブキール湾イースタン ハーバー エリアに博物館を建設する計画は、2011年のエジプト革命で一旦保留になったが、2013年に協議が再開されている。プロジェクトが成功すれば、水中の文化財が1,400年以上の時を超えて、初めて人々の目に触れることになる。エジプトは、この博物館がアレクサンドリアに観光を呼び戻し、古代遺跡の研究が促進されることを期待している。

6. 深海未来都市構想Ocean Spiral

清水建設は、自給自足が可能で環境に優しい海中都市Ocean Spiral Cityを提案。そこには、球体都市内部に建てられた最大5,000人に住居と作業空間を提供するタワーと、海から得られるエネルギーや水、食料などの必要不可欠な資源を都市に提供するベース キャンプが含まれている。

らせん状の構造体は、海水の温度差を利用して発電する海洋温度差発電 (OTEC) のを使用して、再生可能エネルギーを生成。飲用水は、逆浸透膜海水淡水化と呼ばれるプロセスで生成できる。清水建設は2030年までに、このOcean Spiral Cityで人類の居住を実現させようとしている。

7. ヴァンサン・カレボー氏が思い描く、海中のゴミから生まれる3Dプリント製海中エコ ヴィレッジ

ベルギーの建築家ヴァンサン・カレボー氏の予測では、人類は今後、海上に浮かぶゴミから得られたリサイクル材料を使う3Dプリント製の海中集合住宅 (空へと伸びる「超高層ビル」から海底へと伸びる「超低層ビル」となる) に住む「気候変動難民」になる。「Aequorea」と名付けられたプロジェクト名は、発光クラゲであるオワンクラゲの学名から採られたものだ。カレボー氏が思い浮かべるのは、10,000戸の住宅や作業空間と、海洋牧場や公園、果樹園など、持続可能な居住環境だ。

著者プロフィール

ローザ・チュウは在住するサンフランシスコで、より多くの情報へアクセス可能となるよう取り組んでいるテクニカル ライター/ジャーナリスト。

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