在宅勤務支援とストレス軽減を実現する 10 の方法 – 新型コロナウイルスの感染拡大対策
前例の無い危機が、瞬く間に世界を襲っている。多くの国へ広がりを見せる新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) により公共・民間セクターは緊急対応を余儀なくされ、ビジネスの停滞や国境の閉鎖、学校の休業が起こり、世界中の従業員が在宅勤務を強いられている。
不安を引き起こす突然の変化への対応は、確かに難しい。だが我々はそれに適応することができ、この孤独と社会的な距離、家族のケアと不安定な経済が生み出す「新しい日常」と、迅速に折り合いをつけつつある。そして過去のパンデミックの際とは異なり、今日のテクノロジーが持つ人々をコネクトできる能力が、ある種の快適さすら提供している。
企業にとって重要なのは、自社の製品やサービスを顧客や従業員へ継続的に提供でき、それをセキュアかつ信頼できるものにできるような、包括的な事業継続計画を持つことだ。従業員の健康と安全が最優先であり、十分な情報に基づく判断を下せるよう、多くの企業が政府や衛生機関の提供する新型コロナウイルス感染症関連のガイダンスを、注意深く、かつ継続的にモニタリングしている。
CIO など情報担当の役員には、従業員がどんな場所からでも能力を発揮して生産性を維持できるような IT 戦略が必須だ。それにより在宅勤務を、社員がどこからでも、いつでも、そしてどんなデバイスからも仕事をできるテクノロジーで支援可能となる。
新型コロナウイルス感染症の生み出す状況に応じて、多くの企業が在宅勤務を行う社員への支援を進めている。ここでは在宅勤務がスムーズに行なえるようにするための、幾つかのソリューションや実践方法を紹介しよう。
1. SaaS とクラウド ソリューションのソフトウェアへの投資
Microsoft O365、Zoom、Slack、Jira、Salesforce など、クラウドベースの生産性向上ツールにより、どこからでも仕事ができるようになる。Microsoft Teams や OneDrive など、チームがクラウド上でコラボレーションできるような文化を作るべきだ。それにより、遠く離れた環境でも共同でファイルの作業や編集を行えるようになる。
直接的なコミュニケーションが要求されるビジネスの場合は、場所やデバイスに左右されずに生産性やコラボレーションを維持できるような、フレキシブルなソリューションへの投資も重要だ。従業員はコンピューターからでも、電話を使って行えることのほとんどを実行可能だ。
2. バーチャル アクセスの確保
例えば建築家の場合、会社で使用している堅牢なワークステーションを自宅へ持ち帰れないにしても、そのデスクトップへ会社支給のラップトップや個人のコンピューターからセキュアなリモートアクセスが提供されれば、生産性を維持して、どこからでも仕事ができるようになる。
企業が大量のラップトップを発注することにより、トイレットペーパー同様に世界的な供給不足が起きている。サプライチェーンの問題に対応できるよう、市販のラップトップをストックしておき、従業員の個人的なデバイスからバーチャル コンピューターへのアクセスを提供すれば、ラップトップが入手できない状況でもビジネスを継続可能となる。
3. 従業員がどこからでも顧客対応を行えるように支援
顧客と従業員であるサポート テクニシャンが、電話システムの制限を受けず、どこからでも作業できるよう、統合型のコンタクトセンター プラットフォーム (例えば NICE inContact など) を活用しよう。こうしたソリューションでは、グループが同一の建物内に集まる必要はない。サポート チームの場所と状況に応じて、各問合せに対するルーティングの調整や優先対応などを行うことで、高品質でタイムリーなサポートを継続できる。
4. 新規採用者の研修を継続
従業員がオフィスに出社しなくても、新規採用者の社員研修を行わないということにはならないので、幾つか調整を行おう。ミーティングはビデオ カンファレンスで行うことができる。会社支給のラップトップは新規採用者の自宅へ送り、ログイン情報はセキュアな方法で通知。テクニカルなサポートが必要な場合は、サポート テクニシャンが電話やメール、チャット経由で行う。オリエンテーションは会社では行えないとしても、新しいチーム メンバーは世界中へバーチャルにプレゼンテーション可能だ。
5. サポートのニーズ増加に備える
就業環境が変化すると、追加サポートが必要になってくる。ヘルプデスク サポートのチームには、サポートのリクエストが増加することを見越した要員計画を準備させよう。可能な限りセルフサービスのオプションを提供し、ボットや Slack チャンネル、メール、電話など複数のチャンネルを用意することで、サポートを受けやすくすることも重要だ。
6. 明快なコミュニケーション
従業員によっては、在宅勤務が重大な変化となることがある。システムの最適な活用とアクセスの方法を理解させておくことが重要だ。移行が容易なものとなるよう、従業員向けの FAQ や TIPS 集、成功事例を提供し、重要な情報全てをアクセスしやすい内部サイトへホストしておこう。必要な回答を探すことがストレスになりかねないので、自動化されたサポートボットが在宅勤務に関する FAQ へ回答できるようトレーニングしておけば、従業員は即座に回答が得られるようになる。
7. データの深掘り
勤務のセットアップが整ったら、リソースの活用とアクセスがうまく行われていることの確認も重要だ。ダッシュボードを設定し、システムの状況とアクセスを積極的にモニタリングしよう。その貴重なデータにより、従業員がシステム内でアクティブであり、期待通りに仕事を行えているかどうかが分かる。また、使用状況のインサイトが得られ、生産性を維持するために、より多くのライセンスや問題対応の必要性の有無も知らせてくれる。
8. VPN の使用増加に備えたネットワークとインフラの最適化
在宅勤務者が増えると、VPN の需要も拡大する。優れた接続性を確保するには、VPN の活用状況のモニタリングとライセンス数、ロケーションの調整を継続的に行うことに加えて (未使用ライセンスを他のユーザーが使えるよう VPN のアイドル タイムアウトを削減)、ほかにも幾つかのステップがある。
まず、どのアプリケーションに VPN が必要となるかに関して明確にコミュニケーションを行って、従業員が必要なときにだけ活用するようにする。全てのオンライン作業に使用すると、トラフィックが従業員のホームオフィスでなくデータセンターへルートされ、パフォーマンスが低下してしまう。また、接続の安定性が向上するよう、ファームウェアのアップデートを行い、インフラ機器の再起動を行おう。
9. セキュリティに妥協しない
残念なことに、今回の新型コロナウィルス感染症のような重大な出来事の際には、その機会をハッカーたちも利用しようとする。2 段階認証やデータ暗号化、暗号化通信、物理的なデバイスとバーチャルデスクトップのセキュリティ設定を高めることで、従業員がシステムへリモートアクセスを行う際にもデータの安全性を確保できる。
10. バックアップ プランを用意する
テクノロジーの問題に関しては、従業員の知識を活用する一方で、バックアッププランを持つことも忘れてはならない。例えば重要なシステムのパスワードを知っている従業員が 3 名だけだった場合、その誰もが対応できない場合にはどうすればいいだろう? 運用部門とともに、重要な知識と情報がセキュアにキャプチャされるような計画を作っておこう。それにより、不測の事態のもとでもビジネスを継続することができる。
「どこからでも、いつでも、どんなデバイスからも仕事ができる」モデルに投資し、この原稿のように活用事例をまとめておくことで、企業は危機の際に役立てることができる。そして、従業員が日常的に生産的かつ効率的でいることも可能になる。
こうした不測の変化は困難を伴うものであり、それに対する企業や従業員の完全な適応を期待することはできない。だが、悪いことばかりでは無い。こうした危機は人間性に働きかけ、国や大陸の結び付きをより良いものとし、その結果として人類はより強く、最終的にはより優れた復元力を持つようになるのだ。