Skip to main content

製造と建設のコンバージェンスによるディスラプション6例

  • 製造技術の進歩が建設業界の向上に寄与しはじめている。
  • プレファブリケーション、3Dプリント、モジュール建築が、建設のスピードアップと材料の無駄の低減に貢献。
  • ここで紹介する6つの例は、建設と製造のコンバージェンスが、いかに作業員の安全と建設プロジェクトの持続可能性を向上させるかを示している。

製造と建設の境界はますます曖昧なものになっており、使用される材料から、まだ2008年の金融危機から完全には回復していない労働市場まで、その全てにディスラプションが起きている。

建設と製造の違いとは?

製造と建設は、どちらもものづくりに関わりを持った、似ている業界だと言える。建設業界が建物や橋、トンネルなどを作るプロセスに重点を置いている一方で、製造業界は、テーブルやスマートフォンなどのものづくり自体に、より重点を置いたものになっている。

2020年代になって、建設業界でも3Dプリントプレファブリケーションモジュール建築といった生産技術への移行が始まっている。それは労働力不足を回避するためだけでなく、より迅速かつコスト効率が高く、より少ない材料で建設を行うためでもある。

1.ConXtech: 革新的なモジュール建築による建築産業のディスラプション

北カリフォルニアのConXtechは、製造と建設のコンバージェンスにおいて、最も象徴的な会社だと言えるだろう。ロバート・シモンズ、ケリー・ルタレル夫妻が2002年に設立した ConXTech は、Autodesk RevitでアシストされたBIMと製造プロセスを組み合わせ、現場での溶接を行わずに鉄骨の梁や柱を組み上げられる、規格化したインターロック コネクターを作り上げた。これにより、建築上の創造性を制限することなく、迅速な施工と少ない廃棄物、より安全な建物をすべて実現できる。

10-story Portable Tower
ネヴァダ州ブラックロック砂漠で行われたイベント、バーニングマンに建てられた10階建てのポータブルタワーの建設は4日、解体は1日半だった[提供: ConXtech]

2. 建設会社が製造会社のように考える理由

Markforgedのリチャード・エルヴィング氏が言うように、世界は第四次産業革命に突入しようとしている。
この新たな時代には、プレファブリケーションやジェネレーティブ デザイン、VR、ロボットやリアリティキャプチャ、3D プリントが建築・建設やインフラの業界を変革し、より迅速で安全なビル建設と、著しいコスト削減を可能とする。

3. カリフォルニア近郊の山火事でプレファブに注目

カリフォルニア州北部で何千もの住宅が消失した2017年10月の山火事は、プレファブリケーションによる住宅が、より受け入れられるようになる契機になるかもしれない。労働市場の余裕の無さと、州政府による厳密な建築基準により、再建を望む住民は長期に渡る待機を余儀なくされている。Connect HomesやAcre Designsのようなスタートアップ企業はそうしたニーズに応えて、建材の製造と、住宅主へスマートかつ効率の良い住宅をわずかな時間と少ない労働力で建設する機会を提供している。

4. アイントホーフェン工科大学の教授が3Dプリント住宅の問題を解決

建設会社は3Dプリントコンクリートの採用を進めているが、壁の座屈や倒壊の問題は残っている。オランダ・アイントホーフェン工科大学のアイケ・スイカー教授は、3Dプリントによる安定した壁のパラメーター設定に使える数式を開発した。この乾燥時間、材料公正、壁寸法を考慮した数式は、建設会社がより少ない材料で3Dプリント住宅を作るのに役立ち、優れた成果を実現できる。

5. サウジの「ビジョン2030」実現に不可欠なディスラプティブな技術

サウジアラビアの経済の多様化とインフラの近代化、官庁の改善を目指す野心的な「ビジョン2030」計画を実現するには、3DプリントやAR、VRなどのテクノロジーへの転換が必要だとされる。中東の企業はBIMに積極的だが、成長を維持するには新たな建設、製造の技術を採用する必要がある。

6. Advanticのコンポジット材料がエンジニアや施工者のツールキットを拡張

建設業界では鋼やコンクリート、石材が多用されている。それは今後も継続するだろうが、先駆的企業であるAdvanticは、一般的な材料では不可能なことがあることを理解している。同社の軽量でそれほど労働力を必要としないコンポジット材料は、腐食の問題に打ち勝ち、より複雑なビルのデザインに対応する。

本原稿は2018年9月掲載の記事をアップデートしたものです。

著者プロフィール

マーク・スミスはワシントン州ベリンハム在住のライター、エディター、ミュージシャン。

Profile Photo of Mark Smith - JP