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経営幹部による2021年の5つの予測

先日オートデスクが行ったデジタルな集いは、世界の企業の経営幹部が昨年の経験と洞察を共有する機会となり、パンデミックの影響や、他のマクロ経済やテクノロジーについて、また顧客や自社の業界要因、2020 年に彼らが推し進めようとしたことなどが話し合われました。ここでは、彼らの洞察や予測を紹介します。

1. 事業継続とレジリエンスは、もはや行動でなく考え方

そこでは財政の不確実性、地政学的な圧力、競合、サプライチェーンとプロジェクトへの影響など、予定されたテーマに関する議論が行われ、また、過去 10 カ月で学んだことも共有されました。例えば、従業員や顧客、職場へのインパクトを考慮に入れた事業継続計画の再評価や、仕事を行う方法や場所、時間を変えた「全く未知のこと」などです。一部のリーダーたちは、パンデミックが集結した後は古いやり方へ戻り、こうした混乱に対しては再び脆弱な状態となることを心配していました。

2021年には、事業継続戦略は、危機対応を中心とするものから、より幅広い組織のレジリエンスの必要性へとシフトするでしょう。

2. 競争上の優位性として創造性と社会的なつながりをさらに重視

今年は多くの企業がリモートでビジネスを行えることを学んだ年であり、単に方法が変わっただけでした。在宅勤務で最も顕著な問題となったのは非常に具体的なこと (接続性や機器、物理的なワークスペース) でしたが、あまり具体的でないものもありました。

例えば分散作業は、長期的にはカルチャーにどんな影響を与えるのでしょう? デジタルでも、実際に体験するのと同様の、満足できる魅力的な体験を提供できているでしょうか? 公平で創造性を維持し、疲労を最小化させるような、ハイブリットな作業環境をどう設計すればいいのでしょう? 分散作業が今後の生活においては恒久的なものになると多くの従業員が期待しているため、これは非常に重要な問題です。

2021年には、リモートワークのエクスペリエンスの向上、特にデジタルでハイブリッドな環境における社内の結束や信頼、関係性を向上させる方法への注目が高まるでしょう。

3. 分散作業の長期的な運用

パンデミック初期には通勤時間が不要になったことで向上したように見えたワークライフバランスは、従業員が通勤時間を仕事に「寄付」し、仕事と個人生活の境目がさらに曖昧になることの問題により、むしろ燃え尽き症候群に近づいたようにも見えます。そのため、リーダーたちはコミュニケーションや、スタッフの健康と士気の確認やモニタリングへ、より多くの時間を使うようになりました。これは持続可能でしょうか? 恐らくペースが早過ぎるでしょう。しかし、これはデジタルな洞察にフォーカスし、組織全体の有意義なやり取りを拡大することで、リーダーと従業員、顧客が望むようなオフラインでの 1 対 1 の関係構築の予備を増やすようなイノベーションを生み出す可能性があります。

2021 年には特に職場の分析や、リーダーが情報のデジタルと物理的なソースをうまくコネクトできるようなコラボレーションやその他のツールに重きが置かれ、分散作業の運用がより注目されるでしょう。

4. 顧客との関係構築の新たなモデル

リーダーが口々に語ったのは、顧客との会話にこれまで以上に多くの時間を費やし、そのトピックも幅広くなっているということです。顧客は製品やサービスだけでなく、デジタルでの作業能力を高める方法、分散環境で将来のディスラプションに備える方法、そして何よりも、ビジネス上で同じような問題を抱えている人々と、その気付きを共有する方法に関心を持っています。リーダーたちは、オファーの変更や新規開発、COVID-19 リソースポータルの実装、業界やビジネスの問題全般関する幅広いヘルプとガイダンスの提供例も共有しました。

2021年は、関係にさらに重点を置き、イノベーションを提供すること、つまり顧客との関係を豊かにし、好意と価値を高める方法が注目されるでしょう。最も成功した顧客関係は相互性を高め、競争上の優位性がさらに高まるでしょう。

5. ビジネスモデルの改革に最良のタイミング

突然のクラウドコンピューティングへの移行と DX の取り組みの加速は、リーダーがかつて目にしたことのないものでした。デジタルツールに抵抗していた経営幹部も転換し、デジタライゼーションに抵抗していたプロセスも、ほぼ一夜にしてデジタル化されました。こうしたことの多くは戦略というより事業の継続性と存続の問題であり、まだやるべきことも多いのですが、その機会は拡張しています。

ワクチン接種が広まり、より有望な年が進むにつれ、リーダーたちはクラウドコンピューティングや AI、センサーや 3D ビジュアライゼーションがもたらす機会を活用して、プロセスや製品、サービスに洞察や深さ、知性をもたらすことになります。エコシステムの構築にフォーカスし、統合・ネットワークかされた業界の価値を解き放ち、昨年得た洞察をビジネスのイノベーションと成長に活用します。

著者プロフィール

スーザン・エトリンガーはグローバルに認知されるデジタルストラテジーのエキスパートであり、AIやテクノロジー倫理、データにフォーカスしています。イクロソフトのAI & Innovation担当ディレクター、研究機関CICC (Centre for International Governance Innovation) の上級フェロー。彼女のTED Talk「What Do We Do With All This Big Data」は25カ国語に訳され、130万回以上視聴されています。

Profile Photo of Susan Etlinger, Microsoft Director, AI & Innovation - JP