巨大なビルを目の眩むような高さへ: 最新の超高層ビル プロジェクト
1884 年、米国の建築家兼エンジニアであるウィリアム・ル・バロン・ジェニー氏が設計したシカゴのホーム・インシュアランス・ビルの高さは、当時としては脅威的 54.9 m だった。その安全性について激しい論争が起こり、シカゴ市は建築基準法の改正を余儀なくされた。
世界初の高層ビルと認識されているこのビルには、現在の超高層ビル建築にも使われる技術である鉄骨構造が採用さられている。だが、設計者であるジェニー氏も、高さ 1,000 m で砂漠地帯に空高く伸びる、サウジアラビアのジッダ・タワーのような超高層ビルは想像できなかっただろう。
このジッダ・タワーのような最新の超高層ビルは、中国・天津からニューヨークまで、世界各地に点在している。ここでは 21 世紀が超高層ビルの時代だと考えられる理由を 6 つのストーリーで説明しよう。
1. 東京に木造の超高層ビルが 2041 年までに出現?
超高層ビルといえば、鋼とコンクリート、ガラスで建設されると考えがちだ。だが住友林業と日建設計による高さ 350 m の「W350」構想では、その一部に鋼が使用されるものの (現行のデザインでは木材と鋼の使用率は 9:1)、東京の地震にも耐え得る、木造の美しい超高層ビルを建設可能だと考えられている。
2. 超高層ビルがエレベーター革命の推進力に
超高層ビルの増加に伴い、数千人単位の人々の建物内の移動手段が問題となるが、コネ、ティッセンクルップ、オーチス・エレベータなどメーカー各社は、ケーブルとプーリーを用いた従来の手法では不十分な部分が多いことを理解している。これら先駆者的メーカー各社は、エレベーターの斜め移動を可能にし、ビル デザインにおける新たな選択肢を広げられるよう、炭素繊維ケーブルから磁力の応用まで、ありとあらゆるシステムを試みている。
3. スレンダーな超高層ビルが変えるニューヨークのスカイライン
マンハッタンに不動産の購入を考えたことがあるなら、その空間が希少なものであり、それが結果的には価格に影響を与えていることを知っているだろう。この問題に対処すべく、デベロッパー各社は、細身の超高層ビルの建設を始めている。幅と高さの比は 1:10 から 1:23 までとさまざまだが、これは新しいデザインの可能性を開拓し、ニューヨークのスカイラインを大きく変化させるであろう動向だ。
4. 山積みの問題を片付ける中国・天津の超高層ビル施工会社
LEEDゴールド認証に適合する 103 階建ての超高層ビルは、どう建設すればいいだろう? China Construction Eighth Engineering Division (CCEED: 中国建筑第八工程局有限公司)は、Tianjin Chow Tai Fook Financial Center (天津市周大福ファイナンシャルセンター) 建設プロジェクトに際して、先進的な BIM とプレファブリケーション、工業化工法を活用し、激しい地震活動にも耐え得る曲線の多い空気力学的構造を生み出した。
5. 2018 年に完成予定の世界が待ち望むビルの数々
高さ 528 m の北京の中国尊ビル (China Zun Tower) から、サンクトペテルブルクのラフタ・センター (ヨーロッパで最も高いビルとなる予定) まで、2018 年は超高層ビルが都市のスカイラインを変える傾向が続く。英国の建築家トニー・ケトル氏が設計した高さ 462 m のラフタ・センターは、円形劇場やスポーツ施設、教育施設を含む複合施設の一部となる。
6. 世界最高の超高層ビル プロジェクトは遅延しながらも前進
国土面積は小さいが、既に世界最高を誇る超高層ビル、ブルジュ・ハリファを擁するドバイは超高層ビルに精通した国だ。だが世界最高峰の座は、まもなくジッダ・タワーに奪われることになっている。ジッダ・タワー プロジェクトは、コンクリートに関連したデザインの問題で一時的な遅れが出ていたが、現在は再開され、2019 年の完成が予定されている。ビルにはフォーシーズンズホテルが入居し、屋上展望台が設置されることになっている。