Skip to main content

ハイテクとエコで目指す永続性: シェルター デザインのイノベーション 8 選

シェルター デザイン hex house

自然災害や戦争、経済不安が、人々を本来の場所から未曾有の規模で追いやるようになっている。それは、コミュニティの素早い復興や、居場所を失った人々が仮設住宅から長期的な住まいへ移行することがますます困難にしている。

その希望のわずかな兆しとなっているのが、運搬可能な仮設シェルターだ。プレファブリケーションにより、災害時に素早く展開可能な緊急用住居を提供。長期的支援と、復興へのよりスムーズな移行を提供するようになっている。大規模な避難民向けの仮設住宅を一変させ、人々の暮らしを正常なものとする支援を目指す、シェルター デザインの 8 つの例を紹介しよう。

1. Eco Living Module の超サステナブルな住居

この約 20 平米のモジュールは、イェール大学、Gray Organschi Architecture、国連の共同制作によるもので、イェール大学 CEA (Center for Ecosystems in Architecture) 創立者兼校長のアナ・ダイソン氏によれば、「4 人家族向けの住宅で、完全自給自足を実現する手法に関する対話の刺激となる」ことを目指している。この構造物はサステナビリティを考慮してデザインされたもので、ソーラーパネル、放射過熱/冷却システムの駆動に十分なエネルギーを蓄えられるバッテリー、大気中の湿気から水分を抽出して飲料やシャワー、風呂、作物への灌水用の浄水を提供する凝集装置を備えている。この構造物には外壁に植物を育てるための仕組みが備えられており、年間 260 日以上にわたって家族 4 人分の食物を供給できる。

2. 都市のゴミを糧にエネルギーを生成する Skyshelter.zip の折りたたみ式高層ビル

損害を受けたインフラが、緊急事態への対応を非常に困難にすることがある。3 名のポーランド人デザイナーは、それに Skyshelter.zip で取り組もうと考えた。Skyshelter.zip は太陽光発電を動力源とする可動式の高層ビルで、素早く折り畳んで被災エリアへと運搬できる。このコンパクトな構造物は、即座に複数階の高層ビルとして展開でき、垂直農場、仮設住宅、病院、受け入れエリア、収納スペースなどとして使用可能だ。この建造物に使用されているナノ材料は、緊急時にクリーン エネルギーの生成に利用することができ、また雨水を貯め、ろ過して使用できるようデザインされている。

3. EDV-1: 自給型ハイテク シェルター

この大和リースによるコンテナ サイズのシェルターは、トラックかヘリコプターで移動可能な場所であれば、どこでも設置できる。5 分以内に 2 階層に拡張可能で、シャワー、バイオトイレ、ミニ キッチン、生活必需品用の保管スペース、備品、2 段ベッド、机が備えられている。太陽電池がリチウムイオン バッテリーにエネルギーを供給し、凝縮装置により 1 日当たり最大 20 リットルの水を提供できる。EDV-1 のピクセル化された外壁はサイネージを表示でき、緊急時に必要な情報を共有できる。

Eco Living Module には作物生産用のスペースが設けられている [提供: David Sundberg/Esto]
 
New Story の 3D プリント製コンクリート住宅は 24 時間以内で建設可能 [提供: Logan Architecture]
 
Architects for Society の Hex House 近景 [提供: Architects for Society] Hex House

4. 尊厳とコミュニティを生み出す Hex Houses

Architects for Society は、8 カ国 14 名の建築家で構成された NGO だ。難民の平均キャンプ滞在期間が 17 年で、その多くが格納庫などその場しのぎの居住空間での生活を余儀なくされると知ったチームは、より尊厳の確保される選択肢を生み出したいと考えた。彼らがデザインした Hex House は迅速に展開できる六角形の小型住宅で、寝室 2 部屋とバスルーム、ポーチ、キッチン、共用スペースが備えられた、プライバシーの保たれるシェルターだ。Hex House を複数連結することで大家族にも対応し、またコミュニティ感ももたらされる。

5. AbleNook の提供する安全でスタイリッシュなシェルター

太陽光エネルギーを動力源とする AbleNook は、2 時間で設置可能な上、道具や熟練した作業員も必要としない。その堅牢性は、軽度のハリケーンを十分持ち堪えられる。AbleNook にはバスルームやキッチンは備わっていないが、屋根付きテラスが提供されることで居住者が閉塞感を感じないようになっている。また自然換気、照明、貯水スペースが用意されている。

6. イケア: 単なる家具メーカーにあらず

イケアの太陽光発電式ベター・シェルターは、フラットパックで輸送される。モジュラー デザインが採用され、同社の家具同様に簡単に組み立てられる。建造物の内部面積は 5 人がゆったりと休むことができる 17.5 平米で、これは一般的な難民用テントの 2 倍のサイズだ。屋根にはソーラーパネルが設置されており、居住に必要な電力を自家発電できるようになっている。また屋根は太陽エネルギーを検知し、日中は内部を冷却し、夜間は温める。Better Shelter の価格は 1,250 ドル。これは一般的な非常用テントの 2 倍だが、安全性、断熱性、堅牢性を提供し、少なくとも 3 年は持つ。

7. ハリケーンにも耐え得る HuSh2 防災シェルター

Extremis Technology の家庭用シェルター HuSh2 は、カテゴリー 5 のハリケーンの風速に耐え得るよう設計されたもので、当初のテント住宅から常設される再定住用住宅への移行期間向けにデザインされている。壁を折り畳むことにより、わずか 7 分で勾配屋根のある長方形の建物から「嵐に耐えうる」三角柱形へ、工具を使わずに変形させることが可能だ。

8. 低コストで頑丈な 3D プリント製コンクリート造住宅を New Story が拡大している方法

国連の概算 (英文 PDF) によると、世界の 8 人に 1 人が不適切な住宅に暮らしている。デザインビルド NGO の New Story は、世界的なホームレス問題に立ち向かうべく ICON と連携し、初めて認可を得た 3D プリント製コンクリート住宅を建設した。このコンクリート プリンターの実機バージョンは、24 時間以内に 55.7-74.3 平米の平屋住宅を 4,000 ドル以下で建設可能となる。この構造物には、リビング、キッチン、寝室、バスルームとポーチが含まれる。

著者プロフィール

ローザ・チュウは在住するサンフランシスコで、より多くの情報へアクセス可能となるよう取り組んでいるテクニカル ライター/ジャーナリスト。

Profile Photo of Rosa Trieu - JP