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ネット通販の箱問題を解決: オンデマンドのパッケージング ソリューション

on-demand packaging packsize

このiQ Fusion 2カスタム製箱システムなどPacksizeのマシンと最適化ソフトウェア PackNet.Serverを使うことで顧客の時間と材料、コストの削減が可能 [提供: Packsize]

ネット通販における、よくあるイライラ。それは小さな商品でも、エアー緩衝材などの梱包資材が詰め込まれた巨大な箱で配送されることだろう。送る側からすれば、箱のサイズは種類が少ない方が好都合なのかもしれないが、それによる資源の浪費は見逃せない問題だ。

米国環境保護庁によると、容器と梱包資材は国内の都市廃棄物の大半を占めており、2015年には段ボール箱だけで約2,840万tを占めている (英語資料)。1960年には梱包資材の都市廃棄物は1,279万tだったが、ネット通販の拡大に従い、2015年には約4,763万tへと膨れ上がった。その原材料の80%以上はリサイクルされたものとはいえ、リサイクル処理には労力が必要で、採算性の問題もある。

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ソルトレイクシティのPacksizeビル前に立つ設立者兼CEOのハンコ・キースナー氏 [提供: Packsize]

ハンコ・キースナー氏が2002年に設立したPacksize Internationalは、ビジネス向けのオンデマンド パッケージング ソリューションの会社だ。20年に渡って段ボール パッケージング事業を営んできたキースナー氏は、出荷サプライチェーンにおけるムダを削減する新たな手法を生み出したいと考えた。Packsizeは荷主が梱包と製品の出荷を自社倉庫内で行うために必要なマシンやソフトウェア、消耗品など、あらゆるものを提供する。

同社でソリューション エンジニアリング ディレクターを務めるアダム・デラヴィーガ氏によると、問題は過剰な梱包資材ごみを生み出す最終荷主に限ったことではない。従来のモデルでは、ある企業によって段ボールシートが製造されると、製箱する次の企業へと出荷され、それが最終荷主へと販売される。つまり材料費に、輸送にかかる燃費と人件費、さらにはパッケージをパッケージングする費用までもが追加されるのだ。

Packsizeは「サービスとしてのパッケージング」というビジネスモデルの多国籍テック企業へと成長し、顧客向けのサステナブルなスマート パッケージングのソリューションとプロセスを開発している。Packsizeが製造するのは束の状態に結束して折りたたまれたカスタム段ボールシートで、その97%にリサイクルされた材料を使用して、北米とヨーロッパで生産されている。数種類の幅の段ボールシートのバリエーションから、多様なサイズの箱を作成可能 (例えば3種類の幅の段ボールシートから155種類ものサイズの段ボール箱を作成できる)。「顧客が必要とする箱の幅と強度に適したサイズのシートを、折りたたんだ状態で提供します」と、デラヴィーガ氏。

Packsize の最上位のマシンでは箱の切断と折り曲げ、接着、ラベル貼り、封印が可能で、小売業者の企業資源計画 (ERP) や在庫管理システムに組み込み、発注と同時に適切なサイズの箱を自動生成することもできる。

オンデマンド パッケージング packsize z-fold
Packsize独自の段ボールシートはマシンに投入される際の形状からz-Foldと名付けられた [提供: Packsize]

トータル ソリューションの開発

オンデマンド パッケージングへ移行するには、在庫管理とワークフローの変更が必要となる。荷主は箱を保管するスペースを節約できるが、Packsizeシステムには段ボールシートの保管スペースが必要だ。またマシン自体の設置面積も、モデルに応じて約4.2–14平米が必要となる。

資源保護におけるPacksizeの創意あふれるアイデアは、今やパッケージング工程を超越し、顧客のプロセスの上流や下流の工程にまで広がっている。「顧客のニーズとプロセスを検討し、その運用を支援するトータルなソリューションを開発しています」と、デラヴィーガ氏。「オンデマンド パッケージング用にデザインされたのではない設備を利用しつつ、ソリューションを活用できるよう変更を加える必要があります」。

Packsizeのセールスエンジニアは、マシンやその周辺で業務に取り組むオペレーターに必要な床面積を把握するべく、さまざまな技法やAutodesk AutoCAD LTなどのツールを利用して、顧客にサステナブルなパッケージング環境を生み出している。また、マシンとの間で材料のやり取りを行なう搬送ハンドリング システムをデザインして、換気やデータ、電源接続の配置を見極めている。顧客に正確なレイアウトを提供すれば、それを公益事業の請負業者に提供することで設置費用を節約可能だ。

オンデマンド パッケージング 箱
ある家具メーカーはPacksizeシステムで段ボール シート束を適切なサイズへと加工しており、それが製品へのダメージを抑えつつ多数の種類やサイズの箱のストック、注文、管理にかかる労力の削減に役立っている [提供: Packsize]

Packsizeは、顧客が現在保管、回収する無駄な箱の量を分析して、オンデマンド パッケージング ソリューションと価格を策定している。ひとつとして同じビジネスがないのと同様、Packsizeの「サービスとしてのパッケージング」の取引もそれぞれ異なっている。顧客のパッケージング ライン上のPacksizeシステムでは、1日あたりの出荷数と製品のサイズ設定により、顧客が必要とする段ボールシートの束数と幅が決まる。製品発送毎に適切なサイズを設定することで、箱内の無駄なスペースを40–60%取り除くことができるため、製品の保護に必要な緩衝材の削減や完全な排除が可能だ。

時間と労力、さらには炭素排出量も削減

Packsizeシステムにより、顧客は全体的なサプライチェーン コストをおおむね15–25%節約し、材料の保管量を25–35%削減できるとデラヴィーガ氏は話す。

例えばアラバマ州イースタボーガの顧客であるLegacy Cabinetsは、1日あたり3,500–4,000点のキャビネットを梱包している。従来のパッキング システムでは、作業員がラックに並んだ500 種類の箱から最適なサイズを選択して、それを自らパッキング台へ運ぶ必要があった。今ではカスタムのPacksize製箱マシン4台が適切なサイズの箱を自動生成するため、保管用ラックへ行き来する必要がなくなっただけでなく、ラックそのものの設置が不要になった。

オンデマンド パッケージング packsize x7
Packsize X7は適切なサイズの箱の作成、パッキング、発送準備をわずか3–4秒で行える [提供: Packsize]

Packsizeマシンの最上位モデルX7は、箱の切断から折り曲げ、組立、接着、封印、ラベル貼りまでを扱うことができる。デラヴィーガ氏によれば、X7は熟練の作業員でも30秒から1分は必要な作業を3–4秒で処理できる。

Packsizeの概算によると、2013年以来、同社の顧客全体で段ボールの使用に関するだけでも 308,896tの二酸化炭素排出量削減につながっており、その顧客層の拡大により、この数字は日々増加を続けている。加えて、オンデマンド パッケージは製品に適したサイズで作成されるため、出荷されるパッケージの体積も最大で40%縮小される。これは運送費を低減させるほか、荷物を運搬するトラックや飛行機の数を削減できるため、1パッケージあたりのトータルの空気汚染総量の軽減にもつながる。

さらに緩衝材の使用量も少なくとも60–80%は削減でき、廃棄物の山、そして海から厄介なプラスチックを減らすことが可能だ。

著者プロフィール

スーザン・クチンスカスは、様々なメディアで科学、テクノロジー、ビジネスに関する執筆を行うジャーナリスト、著者。

Profile Photo of Susan Kuchinskas - JP