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日常生活を変えるモビリティ デザイン: 世界のイノベーション6選

モビリティ デザイン whill パーソナル

軽量化のトライアルとして、分割可能なWHILL Model C (右) のフレーム部分がAutodesk Fusion 360のジェネレーティブ デザイン機能を活用して再デザインされた (左) [提供: WHILL (写真右)]

世界保健機関の「障害に関する世界報告書」によると、全世界人口の15%が何らかの障害を抱えて生活している。現在の世界人口推計から推定すると、その数は実に10億人以上。また国連は平均寿命の世界的な延びを受け、高齢者の障害リスクの高さが、障害の影響を受ける人口比率の向上につながるとしている。こうした数値はさておき、人生のどこかの時点で、誰もが何らかの助けを必要とするのも事実だ。

幸運なことに、現在成熟しつつあるモビリティ デザインのイノベーションは、日常生活のさまざまな局面で社会参加の機会を提供できるポテンシャルを持っている。優れたモビリティにより、職場で活躍の機会を生かせるだけでなく、より高齢になるまで独立性、健全性を維持可能だ。その有望なイノベーションを紹介しよう。

1. 独立性とスタイルをもたらすWHILLの電動パーソナル モビリティ

アクティブで社会的でも、車椅子に乗っている姿を見られることにためらいを感じるという車椅子ユーザーが、やがて外出やアクティビティへの参加をためらうようになってしまう。そうした現実に立ち向かうべく、WHILLはジェネレーティブ デザインなどのテクノロジーを活用して、軽量でよりスマートなデザインの、パーソナルな電動モビリティを開発している。

2. Scewoによるセグウェイと戦車の遭遇

Scewo Broはバランスを維持できる車椅子で、階段を自力でスムーズに昇降できる。スイスの学生がデザインしたScewo Broは、戦車を思わせるようなゴム製トラックにより、角度を問わず大抵の階段を登ることが可能。その様子がビデオで紹介されている。

3. Sesame Accessが階段を車椅子用リフトに変形

英国を拠点とするエンジニア、チャーリー・ライオンズ氏は友人といたパブで、彼の妻が車椅子を使って都市の環境を移動する困難さを認識。ライオンズ氏が始めたSesame Accessは、以前はアクセスが難しかった店舗やレクリエーション施設、オフィスビルや住居に対応する、100種類以上の階段システムの設計、製造を行なっている。

4. Superstar = 世界最軽量の車椅子

スイスのKüschall社は、炭素原子とその結合からできた六角形格子構造のグラフェン素材を使った自社の車椅子を「世界最軽量」と表現している。グラフェンは、現時点で最強の素材であり、非常に軽量なため、上肢に問題が起きがちな車椅子ユーザーを疲労や怪我からも保護する。

モビリティ デザイン küschall superstar
KüschallはF1カーの製造会社とパートナーを組み、航空機グレードのグラフェンを使うことでSuperstar車椅子の性能対重量比を最大化 [提供: Küschall]

5. 高齢者を力強くサポートするRobo-Trousers

英国のエンジニア達が作るRobo-Trousersは、ユーザーの立ち座りをサポートできるズボンで、膨らませることで人工筋肉を模倣できる、プラスティック製風船が収められている。高齢者や障害を持つ人の移動に役立ち、介護無しに生活できる期間を長くすることが可能だ。

6. ショッピングカートを再活用するCart Wheelchair DIY

高齢者や障害を持つ人、寝たきりの人にとって車椅子は重要な存在だが、非常に高価な場合がある。Cart Wheelchair DIYは、中古のショッピングカートを障害者や高齢者、通常の車椅子では高価すぎる患者に役立つツールとした車椅子。さらに快適になるよう、このカートに小さなバスケットやシート用クッション、ハンドブレーキを追加する改造も行える。

著者プロフィール

ローザ・チュウは在住するサンフランシスコで、より多くの情報へアクセス可能となるよう取り組んでいるテクニカル ライター/ジャーナリスト。

Profile Photo of Rosa Trieu - JP