大型産業機械のメーカーに未来をもたらす5つのイノベーション
大型産業機械の分野で競争力を維持するべく、世界各地の製造会社が自動化や3Dプリントなどのデジタル トランスフォーメーションを推し進めている。その成果には、前向きなものも多い。メーカー各社は、この伝統的な業界に逆行して、不要なコストを削減することで収益を拡大しつつある。例えば高リスクの作業環境に訓練可能な協働ロボットを配備することで、人々を危険な作業から除外し、より満足感の高い仕事へと解放している。
こうしたイノベーションを、メーカーがビジネスの強化や自動化、現代化に活用している5つの例を紹介しよう。
1. 重機メーカーがジェネレーティブ デザインを現実のものに
創業113年を迎える独企業Claudius Petersは、セメントや鉄鋼、石膏、アルミ産業向けのバルク材処理装置を提供している。デザイン目標と制約を取り込み、無数の組み合わせの選択肢を生成するジェネレーティブ デザイン ソフトウェアの実演デモを目にした同社は、それを同社のセメント業界向けの主力製品になってきた大型機械の最適化に活用。この新生期のソフトウェアが、実に30-40%も軽量なパーツの生成に役立った。Claudius Petersは新生のテクノロジーを導入することで、材料とエネルギーコスト、リードタイムの削減へ突き進んでいる。[Redshiftストーリーを読む]
2. Desktop Metalが巨大で高速な金属3Dプリンターの大量生産へ
米ニューハンプシャー州を拠点とするテック企業Desktop Metalが製造する巨大な金属3Dプリンターは、ステンレスやアルミなどの合金製部品を、組立ラインに匹敵するスピードと量で製造できる。4台の機械全体は長さ4.9m、高さ1.8m、重量はSUV 1台分ほどで、航空宇宙業界で使われている既存のハイエンド システムの100倍のスピード、1/20のコストで3Dプリントが可能。従来の製造プロセスに必要だった機械加工も不要だ。[参考記事]
3. SABICが積層板大規模製造の自動化を推進
SABICは石油化学製品、産業用高分子材料、化学肥料、金属を製造するサウジアラビアの企業。先日発表を行ったDigital Composites Manufacturingラインは、カスタムメイドの熱可塑性複合材料積層板の大規模生産向けにデザインされている。このラインはロボット工学を含むデジタル技術を活用して、平積層板のカスタマイゼーションと同時にサイクル時間とコストの削減を実現。このシステムは毎分4枚の積層板を生産可能とされ、これは年間あたり150万個のパーツに相当する。[参考記事]
4. アウディが製造業界のイノベーションをドライブ
独インゴルシュタットのアウディA3車体工場を統括するフーバート・ハートマン氏は、自社工場をその精巧さからスイス製の腕時計になぞらえる。自動車工場ではロボットを溶接など危険なタスクに使うことが多いが、アウディは自動化とその他の先進的な製造テクノロジーを組み合わせて使用し、効率性を向上させエネルギー コストを削減している。自動化は製造業における雇用削減の原因となっているが、生産性の向上や経験の浅い労働者の需要減少、専門知識を持つ経験豊かな労働者のニーズ拡大など、いくつかの利点ももたらしている。[参考記事]
5. Strata Manufacturingが航空機部品の製造にロボティクス システムを導入
Strata Manufacturingはアラブ首長国連邦を拠点とする航空機メーカーで、エアバスやボーイング、レオナルドの航空宇宙部門と強いつながりがある。2019年1月、Strata Manufacturingは Digi Robotics Technologies と連携し、航空機部品の製造に重要なドリル、リーミング、カウンターシンク処理を含む、当社の組立ユニットの自動化を支援する新たなロボティクス システムを導入する計画を発表した。[参考記事]