コマニー株式会社

Autodesk | サステイナビリティ レポート

今日、サステイナビリティは世界の企業において不可欠なパフォーマンス指数になりつつあります。オートデスクでは、ビジネスの必須要件となりつつあるこのサステイナビリティにおいても、お客様のサポートをしてゆきたいと考えています。オートデスクは、ビジネスと地球環境にプラスとなる活動を両立できる企業が、今後のビジネスシーンにおいて最も活躍すると信じています。

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画像提供:コマニー株式会社

お客様の空間を創造するコマニー株式会社

今回は、1961 年にキャビネットメーカーとして産声をあげ、その後パーティション専業メーカーとして半世紀以上、業界のリーディングカンパニーとして発展し、現在ではオフィス、工場、病院、福祉施設、学校、空港、駅など、様々な空間に活躍の場を広げている、コマニー株式会社様のサステイナビリティへの取り組みについて伺いました。コマニー株式会社様では、パーティションなどを利用した空間づくりを「間づくり」と定義し、「間づくり」を通して「Empower all Life – 1 人1 人が光り輝く社会 –」の実現を目指しています。

<インタビュー>

コマニー株式会社
執行役員 経営企画開発統括本部
経営企画本部 本部長 兼 社長室 室長
中嶌 大樹 氏

コマニー株式会社
経営企画本部 サステナビリティ経営推進部 部長
北川 真奈美 氏

我々はパーティションや間仕切りなどを取り扱っていますが、単にモノを売っているのではなく、そこにいる人々が快適に過ごせるための空間を提供する「空間ビジネス」として事業を展開しています。オフィス、学校、病院などにおいて、皆様が快適に過ごすために重要となる「間づくり」、それが我々の考えるパーティション事業です。

--中嶌 大樹 氏, 執行役員 経営企画開発統括本部 経営企画本部 本部長 兼 社長室 室長, コマニー株式会社

環境面への影響に配慮した「やさしい」建築設備

現代における快適な空間づくりを考える際、環境への配慮は避けて通れない問題だと感じていますが、パーティション自体が環境にやさしいものであるのではないかと思います。在来的な建築手法の壁であれば、部屋のレイアウトを変更する際に壊してから新たな壁を作ることになりますが、パーティションで作られている空間では、材料を一度解体して、廃棄せずに再度組み立てることができます。まさしく 3R(リデュース、リユーズ、リサイクル)の考え方に当てはまる、環境にやさしい製品と言えるのではないでしょうか。当社ではパーティション事業を 60 年間続けており、その中で多くの変化を間近に見てきました。環境意識や快適なオフィス空間への認識が高まっている昨今では、導入コストは通常の壁に比べて高くはなりますが、レイアウト変更などのランニングコスト面や再利用可能という環境面への配慮で、パーティションを選ばれる方が多くなってきました。加えて当社の製品は、遮音、耐震、ユニバーサルデザインなど、安全面や機能面も向上しており、現代のお客様のご要望にあわせた幅広い選択肢を提案できるようにしています。

パーティションの材料でも環境を考慮したものを検討しています。従来までは、十分な機能を持つ製品をいかに安く開発するかが軸となっていましたが、昨今では環境面も重要な要素として考えるようになりました。部品調達に関しても安ければ良いということではなくなっています。

エネルギー消費についてもパーティションが貢献できるかもしれません。間接的にはなりますが、例えば断熱性能の高いパーティションを使用することで、多少なりともエネルギー消費を抑えられるのではないかと感じています。日本でもデータセンターが増加していますが、そこで使用されるサーバー機器は大量の熱を発し、その熱を抑えるために多くのエネルギーを消費していると思います。実は当社で、それらの熱を抑えるためのパーティション開発や、熱エネルギーを循環させる空間づくりをおこなっています。ご相談いただく件数も増えており、このようなエネルギー面でも我々の「間づくり」は社会に貢献できているかと思います。

サステイナビリティの社内浸透を深めた 出来事

サステイナビリティへの取り組みを社内で浸透させるためには、ステークホルダーへの発信や社内体制の整備などの内的要因から、社会的な法整備や社会の情勢などの外的要因も含めると、本当に様々なことが必要だと思います。ただその中でも、やはり社員のマインドセットが一番大切だと感じています。部署によってサステイナビリティに対する理解度は異なりますので、自分の仕事に無関係だと思ってしまうこともあります。お客様やお取引様などの社外の方々がサステイナビリティへの取り組みに共感し、評価いただけると社内への浸透は早いとは思いますが、経済・社会・環境の調和を評価軸にすることを目指しているというのが実情ではないでしょうか。「サステイナビリティに取り組んでいるコマニーだから買う」という評価基準が増えていけば、社会全体が良くなっていきます。社内への浸透もよりスムーズになり、営業であれば提案方法も比例して変わっていくと思います。

ここで興味深い実例を一つあげてみましょう。当社では各自治体が宣言している SDGs 制度への参加を推奨しています。各自治体によって活動は様々ですが、社員が参加することで社員の理解も深まり、自治体の方にコマニーの取り組みを知っていただくことで、商談の機会をいただくこともできたのです。これはサステイナビリティ浸透の非常に良い例となりました。営業部門でもサステイナビリティの取り組みが事業を通じて貢献していることだと理解したことで、営業活動に役立つと実感してもらえました。今後はこういう体験を増やすことが重要だと感じています。

着実な活動が紡ぐ新たなブランディング像

当社は 2018 年 4 月にコマニー SDGs 宣言を発表し、同年 8 月には国連グローバル・コンパクトに署名、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンに加盟しました。そこから様々な学ぶ機会や最新動向を知る機会を得て、SDGs を深く知ることができ、事業に結び付けていくことができました。環境面だと、2019 年 10 月に再エネ 100 宣言 RE Action に加入し、再生可能エネルギーの活用を促進しています。2020 年 4 月には SBT イニシアチブから認定を受け、この高い目標を対しても着実に取り組んでいます。こういった宣言や認定も、サステイナビリティを推進している企業として重要なことだと感じています。達成できていることがサステイナビリティ活動の加速になりますし、しっかりと有言実行することがブランディングにも繋がると感じています。実際に SDGs や脱炭素に関心がある企業や自治体からの問い合わせは増え、メディアからの取材も増加しました。他にも、県外の学生から工場見学の問い合わせや、論文のアンケートを依頼されることもあります。従来までは、各種の問い合わせやメディアへの露出の機会はそれほど多くなく、サステイナビリティの取り組みが新たなブランディング活動および事業活動に着実に結びついてきています。

「1 億人の Well-being の向上」を目指して

その場にいる人たちの心身の幸福や充実感など、我々は「間づくり」を通じて空間価値を向上させることができるという想いがあり、これを社会的インパクト指標として「1 億人の Well-being の向上」として掲げています。その空間で働く方々の安心安全、プラスアルファの幸福、ユニバーサルデザインによるストレスレスな空間、そういった人々に与えている影響を定量的に計測する方法がないかと模索しています。この定量的に計測するという部分は、サステイナビリティの活動でも同様だと考えています。やはり企業の活動として取り組んでいるので、目に見える形で評価できる方法は必要です。双方とも最適な計測手法はまだ見つかっていませんが、試行錯誤しながら前進させていきます。

その他の取り組みとして、太陽光などを含めたエネルギーに関する分野は引き続き注力していきます。また、SDGs を推進するためにはデジタルトランスフォーメーション(DX)も必要だと考えています。サステイナビリティを推進していくためにコンサルティングサービスも利用していて、DX 分野でもコンサルティングと協力しながら、着実に自分たちができることを進めていきます。オートデスクとも BIM に関する取り組みを早い時期から一緒にやってきました。こういった設計の効率化も、サステイナビリティに関連するものだと感じています。これはサプライヤーの方々と CO2 削減の取り組みを話した際の話なのですが、サプライチェーン全体で CO2 を簡単に測定でき、算出できるプラットフォームがあれば、サプライヤーの方々とより一緒に取り組むことができる、という話題がありました。これからはカーボンプライシングなど法的な話もサプライチェーン全体が関わる事項になるかもしれませんので、時代に即した利便性の高いプラットフォームが必要になってくるのではないかと思います。

Interview date: 2021 年 10 月 15 日