KAI グループ (貝印株式会社、カイ インダストリーズ株式会社)
Autodesk | サステイナビリティ レポート
今日、サステイナビリティは世界の企業において不可欠なパフォーマンス指数になりつつあります。オートデスクでは、ビジネスの必須要件となりつつあるこのサステイナビリティにおいても、お客様のサポートをしてゆきたいと考えています。オートデスクは、ビジネスと地球環境にプラスとなる活動を両立できる企業が、今後のビジネスシーンにおいて最も活躍すると信じています。
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今日、サステイナビリティは世界の企業において不可欠なパフォーマンス指数になりつつあります。オートデスクでは、ビジネスの必須要件となりつつあるこのサステイナビリティにおいても、お客様のサポートをしてゆきたいと考えています。オートデスクは、ビジネスと地球環境にプラスとなる活動を両立できる企業が、今後のビジネスシーンにおいて最も活躍すると信じています。
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今回は、800 年以上の歴史を持つ刃物の都、岐阜県関市で誕生し、ものづくりの技や魂を受け継ぎながら、刃物を中心としたビジネスを展開されている KAI グループ様のサステナビリティへの取り組みについて伺いました。KAI グループ様は、調理、グルーミング、ビューティーケア、医療品など 1 万アイテムにもおよび製品を展開しつつ、商品の企画、開発、販売、物流までを自ら行っている、世界でも類を見ない刃物関連メーカーです。
<インタビュー>
貝印株式会社
サステナビリティ推進部
次長
菅原 晃 氏
左:貝印株式会社 本社 右:貝印株式会社 サステナビリティ推進部 次長 菅原 晃 氏
当社はカミソリ、包丁、ハサミ、爪切りなどの日常用の刃物から、業務用や医療用などの刃物、またはそれらに関連する商材を扱うものづくり企業です。商品の幅は幅広く、企画、開発、販売、物流という、サプライチェーン全体を意識したビジネスを展開しています。また、売り上げの5 割は海外から得ており、アメリカ、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、それに自社工場のあるインドなどでのグローバル規模での展開、また、クッキングスクールなど製造業以外の業種にも注力しており、様々な分野で幅の広い活動をおこなっています。
また当社は株式非上場の企業でもあります。ESG 投資などの金融関係はそれほど意識しておらず、社会のトレンドより、自分たちで何ができるかを考えてきました。本拠地が岐阜県関市で地方の企業ということもあり、100 年企業として周りの流れに影響されず、自分たちの行くべき道を見据えて進んでいく文化があります。サステナビリティのような社会問題においても、これらの視点で考えています。
当社は幅広いビジネスを展開していますが、核である製造業におけるサステナビリティ活動を最大の目標としています。具体的には、温室効果ガスの削減、循環型素材の使用、この 2 つが大きな方針です。これらの方針に基づき、再生エネルギーの活用、工場廃棄物の再資源化、包装資材の低環境化素材への変更、リサイクルを前提とした製品設計、製品素材の低環境化、そして責任ある調達、この 6 つの項目をアクションとして実行することにより、温室効果ガスの削減や資源の循環などをサプライチェーン全体で達成しようと考えています。
サステナビリティを社内で浸透させるにあたって私たちが意識しているポイントは、全員の理解です。トップダウンで進めている面もありますが、社員全員がサステナビリティなどを正しく理解して、自分ごとにしていこうという考えがあります。そのために社員向けの Web サイトで月 1 ~ 2 回、わかりやすくかみ砕いた内容でサステナビリティに関する記事を配信しています。Web サイト以外にも食堂での掲示など、工場で働いているパートの方々も含めて、誰もがアクセスでき、誰もがわかる内容で発信しています。2020 年からは社員向けのオンライン研修も始めました。こういった活動の結果、社員の週報などでもサステナビリティに関する報告があがってきており、着実に理解が進んでいると感じています。
次のステップとしては、このような社員への取り組みと並行して、サプライヤーの方々をはじめとするサプライチェーン全体に対して、内容を理解いただき、賛同をいただきながら進めていこうと考えています。やはり当社だけではものづくりが完結せず、素材メーカー、部品メーカー、生産を委託しているすべてのメーカーの方々が関連しており、サステナビリティへの取り組みは、サプライチェーン全体で理解していただかないと実現できないものだと考えているからです。素材1 つをとっても素材メーカーの方に作っていただかなければならず、販売においても販売先の方がものを売ってくれなければいけません。サステナブルな製品を発表しても、コスト対効果も含めて各小売の方々の理解が進んでいないと、意味がありません。
法律的なところで言いますと、日本だけでなく、ヨーロッパやアジアなどグローバルの状況を把握して連動していく必要があります。日本の循環型を促進するプラスチック資源循環促進法もそうですが、やはり各種法規制は重要なポイントになります。
再生可能エネルギーについては、2020 年 10 月に新潟の流通センターの電力を低 CO2 プランに切り替えました。それ以外では 2030 年とその先に向けて、電力における再生可能エネルギーの比率を高め、温室効果ガスの削減を進めていく方針です。製品については、紙製のカミソリをテスト販売しました。2022 年以降に本格的な生産販売を予定しています。ちなみにこの紙製カミソリの反響は大きく、日本だけでなく海外の様々なメディアで取り上げられました。パッケージもフィルムを使わず紙製になっており、そのデザインも含めてパッケージの賞もいただきました。この紙カミソリに関してはもう 1 つ視点があります。現在の多くのカミソリは男性用と女性用を分けてデザイン・販売されていますが、“剃る”行為に関しては男女は関係ありませんので、ジェンダーレスのカミソリというコンセプトも持っています。このコンセプトも高く評価されました。
その他の製品に関しては、現在、様々な再生材やバイオマス製造開発処理を検討しています。これらが世に出てくるのは 2022 年以降を予定しています。当社は生分解性素材のカミソリを発売して 20 年になりました。そういう流れや紙カミソリの例から、少しではありますが、バイオマスを入れた業務用カミソリを発売していますし、樹脂と石灰を混ぜ、プラスチックの石灰の方が多い樹脂素材のハンドルを使ったホテル用のカミソリも発売を予定しています。
2020 年 2 月から発売されている、主力の身だしなみ用品やキッチン用品のパッケージについては、使用する台紙を国際的な認証である FSC 認証のものを採用しています。国内生産の製造台紙から採用を始め、将来的には海外生産の台紙についても切り替えていきます。台紙についている透明のプラスチックのカバーや透明樹脂箱については、既に PET ボトルを再生した再生 PET 材の使用を開始しており、温室効果ガスを約 60 %削減するものです。この 2 つについては、まずは国内の新商品で基準とし、海外についても可能な時期から実施しようと考えています。
アクションに挙げている「責任ある調達」については、サプライチェーン全体で実行するために、サプライヤーの方々への賛同を始めたところです。順次進めて、約 3 年で主要なサプライヤーの方々と持続可能な製造責任の方針について賛同していただこうと考えております。
2020 年に SDGs 推進室、2021 年にサステナビリティ推進部ができました。現在は SDGs の方向性を決めた段階だと考えています。これから実行に移して、将来的にどのような達成ができ、どれほど利益に関連したかを見ていくつもりです。世の中の状況はどんどん変わっていますし、不確実な要素が多いので、それらの変化にうまく対応していきたいと思います。そのためにも人に対する投資や教育的な投資はこれからも実施していく予定です。他と比較したことがないので正確ではないかもしれませんが、この会社の規模で専門的なチームがいることが、その 1 つの例だとも感じています。新入社員への教育プログラムにも組み込んでいく予定ですし、当社の社員皆で達成しようという社風にあった形で、これまでに申し上げたプログラムと併せて実施していきたいと思います。
今後の展望に関連するところでは、当社ホームページのサステナビリティに関するページを拡充し、さらに英語にも対応する予定です。このページでは、当社がステークホルダーや世の中の皆様に対してどういった活動をしていくかというグループ方針を記載します。持続可能な社会に向けての宣言、そして SDGs へのアクションの 5 つの P のうち、4 つの P(People, Prosperity, Planet,Partnership)について、現在やるべきこととこれからやるべきことを起案したものになります。また環境方針についても、10 年以上前に作成していたものに「責任ある調達」と「温室効果ガスの削減」を新たに加え、アップデートしています。これまでに紹介したアクションを経て、温室効果ガスの測定も始めました。SCOPE1、SCOPE2 までは把握しており、具体的な数値も先ほどのページ内で公開しております。SCOPE3 の自社製品に関しては、現在取り掛かってる最中になります。この辺りまで把握できると、本格的に事業活動から排出される量も見えてきますので、具体的な削減プランにも進めると思います。工場から排出される廃棄物については、現在は法令順守レベルではありますが、将来的にはレベルを上げ、本当の再資源化を進めていきます。これらを、ステークホルダーの皆様、お客様、取引先、有識者、政府、地域社会、従業員と一緒になって、取り組んでいこうと考えています。
Interview date: 2021 年 8 月 30 日
オートデスクは、サステイナブルなビジネスへの取り組みを自社内だけでなく、サプライヤやビジネス パートナーからお客様までを含むバリュー チェーン全体で推進しています。