オートデスクが目指すこれからのすがた
日本の製造業をサポートする
デジタル プラットフォーム パートナーへ
DETLEV REICHENEDER, 2022.2.21
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オートデスクが目指すこれからのすがた
DETLEV REICHENEDER, 2022.2.21
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オートデスクは2021年にブランドを刷新し、グローバルなプラットフォーム カンパニーへの転換を加速しています。デジタル化が企業の生き残りの条件である現在、製造業に図面の3Dデータ化をはじめとするデジタル トランスフォーメーション分野での豊富なノウハウを持つオートデスクでは、業界・企業・部門・部署をシームレスにつなぐプラット フォーム ソリューションを提供し、ものづくり企業による新しい付加価値やサービスの創造を支援します。
製造業グローバルマーケット開発&戦略シニアディレクター、デトレフ・ライヒネーダー
オートデスクは、新たなブランドのもとでグローバルなプラットフォーム カンパニーとして事業を展開していきます。今後は、プロダクト フォーカスではなくプラットフォームにフォーカスしたメッセージを発信し、製造、建設、メディア&エンターテインメントといった分野で提供してきたソリューションを横断的にカバーできるプラットフォームとして融合させ、顧客が成果(アウトカム)をあげるための真のパートナーとなれるようにしていきます。ユーザーや業界の今後を想像すると、オートデスクがプラットフォーム カンパニーとして活動していくことは必然だったのかもしれません。私たちの業界でも多くの企業が同様の議論を深めていることが、その一つ現れであるとも思いますし、なにより良質な「プラットフォーム」こそが、これからの顧客の成長や持続可能な事業展開のために必要なものだと感じています。本日はプラットフォームが必要である理由や、私たちがものづくり企業の皆様のパートナーとして、今後どのようなことができるのかを説明していきましょう。
製造業の皆様は、顧客の要望に応えることでより良い製品やソリューションを提供し、企業の成長や利益の拡大につなげ、ステークホルダーに対して価値を提供することに重きを置いて、これまでの企業活動を行ってきたと思います。ただ2022年現在、これまでのアプローチは徐々にうまくいかなくなってきているのかもしれません。実際に、新製品の45%は平均1カ月遅れて市場投入され、72%の新製品が設定した利益目標に達しておらず、過去10年間での製造業全体の生産性は年平均3%程度しか伸びていません。こういったデータを見るたびに、これまでのやり方を踏襲した計画やプロセスは限界に達しているのではないかと感じています。これらに加えて人材不足の問題もあります。製造業では約500万人もの技術者が不足しているというデータもあり、特に日本やドイツで成熟期を迎えている企業にとって、これからのものづくりビジネスは多くの変化が必要だと考えていらっしゃるのではないでしょうか。
このような問題を解決するために進められてきたものが、紙ベースからエクセル、紙図面から2D/3D CAD、CNCマシン用プログラミングなどのデジタル化でした。これらのデジタル化はある程度進みましたが、大半の企業では社内各部門が島のようなかたちで独自のツールやシステムを使用し、互いに連携が取れていない孤立した状態になっていることがわかってきました。ワークフローがつながっていないと、情報を探したり、データを変換したりと、多くの無駄な時間が生まれてしまいます。これらの課題に対して、PDMやPLMというソリューションが提案されてきましたが、運用がうまくいかない例を数多く見かけます。
オートデスクの提供する「プラットフォーム」で、孤立していたものづくりデータが連携する
そこで私たちが提案したいものは、PDMやPLMを含んだオープン プラットフォームという考え方です。情報がシステム間を自由に流れることができる「プラットフォーム」を用意することで、今まで孤立していた情報を連携させることができます。スマートフォンで例えるとわかりやすいかもしれません。電話、カメラ、音楽プレーヤーなど、従来までは別々だったものが、スマートフォンという「プラットフォーム」の上で融合しました。さらにはプラットフォーム上で生まれた配信サービスという新たな要素まで加わっています。まさしくこれが我々が目指しているプラットフォームです。部品情報、図面、加工データなど、今まで孤立していたデータがオートデスクの提供するソリューション上で連携することができるようになります。オープンという部分も重要です。私たちだけですべてを解決することはできないので、各分野のエキスパートがプラットフォームへ参加いただくことで、新たなソリューションが生まれる。先ほどのスマートフォンの例でいう、配信サービスにあたる現象です。
一番重要なことは、こうしたソリューションを実現することで、お客様が成果をあげることができるようになることです。単にデータがつながる、管理でいる、自動化できるというだけでは意味がなく、これらを活用することでものづくり企業の皆様が成果をあげること、これが我々のプラットフォームのコンセプトにもなります。
Benson Industries社は遅延50%、ミス40%の削減に成功
実際の例をいくつかご紹介しましょう。まずはカーテンウォールや建築関連設備を手掛けているBenson Industries社です。彼らは、サプライヤーとのデータ共有をメールやFTPでおこなっていましたが、オートデスクのソリューションを活用し、サプライヤーの開発・製造プロセスをはじめとするすべてのデータを共有するようにしたことで、遅延は50%、ミスは40%も削減することができました。すべての関係者が共通のデータを見ていることで、コミュニケーションがスムーズになり、解釈の違いなども解消することができたのです。
次は、モジュール型の橋梁を手掛けるMabey Bridge社です。彼らは溶接やボルトで建設するモジュール型の橋梁を提供していますが、橋梁は一つずつ仕様が異なり、価格やエンジニアリングの見積もりに時間がかかっていました。しかし我々のソリューションを導入し、顧客とも共有することができるプラットフォームを用意したことで、顧客自らが橋梁を構成して見積もることができるようになりました。従来は数日かかっていた見積もりが、分単位で算出できるようになったのです。データだけでなくルールも共有できるプラットフォームという概念があったので、こういった他社と差別化できる優位点を持てたのだと思います。
プラットフォームによってデータの流用性が高まることで従来までの境界線がなくなり、デジタル トランスフォーメーションが加速
先ほどご紹介した成功事例にも言えることですが、データが繋がるプラットフォームを用いて、顧客と一緒にデジタル トランスフォーメーション(DX)の取り組みを進めることで、業界、企業、部署、プロセスなどを横断したソリューションを生み出すことができました。DXでは、従来までのシステムやプロセスをいかに改善し、目標を達成していくかが重要になります。それぞれの縦割り組織の中では最適化がされていたかもしれませんが、DXの一環として業界や部門などの垣根を越えた情報の共有化を実現しようとするとうまくいかなくなることがあるのではないでしょうか。設計を例にすると、3D設計で効率化を試みている設計部署は徐々に増えているかもしれませんが、3D図面を含めたデータを活用して関係各所とのコラボレーションを実現している企業は、自動車業界などのごく一部だけだと思います。ご紹介した企業のように私たちのプラットフォームを利用してデータの使い方を変えることができれば、マスカスタマイゼーション、柔軟な生産体制、スマート サービス、デジタル コラボレーションなど、様々な繋がりがキーポイントとなるDX目標を達成することができます。
オートデスクのプラットフォームは「スピード」「柔軟性」「リミットレス」という分野で、ユーザーにメリットをもたらす
私たちのプラットフォームが目指している特長は3つです。1つはスピード。世の中の変化に素早く対応して、迅速に事業や利益の拡大に繋げていくことができなければいけません。2つ目は柔軟性。顧客が現在使用しているシステムを捨てて、新しいものに置き換えたいとは思っていないので、必要な部分は従来の資産を活かしつつ、ニーズに応じてカスタマイズできる柔軟性が求めらています。最後はリミットレス。メカ設計、電気設計、シミュレーション、製造などの専門領域を包括でき、拡張性も備えたリミットレスなエコシステムを構築できるものを目指しています。データ共有やコラボレーションなど、組織や企業などの境界にとらわれないものになるでしょう。「スピード」「柔軟性」「リミットレス」。これら3つが私たちが目指すプラットフォームの特長です。
昨今はDXやサステイナビリティなどの大きな潮流が生まれていますが、企業がこういった大きな変革に踏み出す時には、そこで働く従業員が納得し、自分ごととして歩みだすことが大切だと思います。これからのイノベーションはマネジメントも含めた変化が必要になるでしょう。また、これまでの改革は長期的で複雑なプランが多かったように思いますので、実務的で測定・評価可能な形で進めなければいけません。世の中の変化は速いので、複雑に作りこみ過ぎず、実務的なステップで進めるべきでしょう。もう一つ加えると、様子見や状況の把握に多大な時間を割かず、変化の兆しを見つけたら、すぐに実行に移すことが求められると思います。コロナによるパンデミック、カーボンニュートラルやSDGs、自動車業界におけるEV化など、俊敏性(アジリティ)の重要性を痛感する事象は数多くありました。大きな進化を遂げる企業はこういった世の中の変化を教訓をとして、迅速に対応できるよう体制を整えてるのだと思います。
日本は、私の住んでいるドイツと非常に似ている国なのではないでしょうか。エンジニアリングに対するこだわり、制度、歴史、国民性など、両国はものづくりにおける文化を醸成してきていると思います。加えて、一般的に保守的と評されるところも両国の類似点ではないでしょうか。変化のスピードの速い現在において、保守的な行動はリスクも含んでしまいます。今後もものづくり大国としてリーダーシップを発揮していくためにも、イノベーションや柔軟性は必須ですし、今できることをすぐに行動へ移すアジリティも求められます。何もしないことのリスクは、何かをすることのリスクよりはるかに大きいものです。オートデスクは日本の製造業の皆様が進めるイノベーションに対して喜んで支援させていただきます。
オートデスクは設計の世界的リーダーであり、テクノロジーの開発を推進しています。建築、エンジニアリング、建設施工、デザイン、製造、エンターテイメントなどの分野にまたがる専門知識を生かし、あらゆる分野のイノベーターが現在抱えている課題の解決をお手伝いします。