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e コマースの進化

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画像提供:Brent Scannell 氏

3D コマースとメリットで需要を喚起する

「最先端の e コマースの拡大は、アーティストにとってより安定した雇用機会につながり、新たな舞台で再び才能を開花させることができます。」

画像提供:Brent Scannell 氏

3D コマース、e コマースの進化、ビジュアライゼーションと最先端の小売体験

近年のテクノロジーの進歩により、従来の 2 次元での販売から、臨場感がありインタラクティブな e コマース体験に移行しつつあります。業界のパイオニアである Sears、Tiffany’s、Montgomery Ward、Eaton’s などの各社が 1 世紀以上前に最初に広めた通信カタログ販売は、一般大衆に製品を購入しやすくして、ターゲットを絞り込んだダイレクト マーケティングを開始することで、小売とマーケティングの状況を一変させました。

このモデルは必然的にありふれたものとなり、アクセスしやすいオンライン カタログへと進化し、e コマースとして知られるようになりました。しかし私たちは、新たな変革を迎えつつあります。つまり、製品のバーチャルな表現、リアルタイムのインタラクションが可能な本物そっくりの3D 製品モデル、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)の体験といった臨場感のあるオンライン コマースが、従来の小売モデルに取って代わろうとしています。

「最先端の e コマースの拡大は、アーティストにとってより安定した雇用機会につながり、新たな舞台で再び才能を開花させることができます。」

最先端の小売体験におけるこのような進歩は、顧客にも小売業者にもメリットをもたらします。顧客にとっては利便性が高まり、購入体験に自ら関与しやすくなり、より多くの情報に基づいて決断できます。一方小売業者にとっては、コスト削減、在庫やショールームのディスプレイの削減、潜在顧客の購入を促すインセンティブの拡大などのメリットがあります。

最先端の小売体験の継続的な進化は、小売業者とテクノロジー プロバイダーの連携を通じて実現します。複数の企業が力を合わせて共通の課題を克服すべく、テクノロジーの進歩に向けて連携しています。これには、Khronos Group が管理しているオープンソースの取り組みも含まれています。具体的には、オートデスクやその他のパートナー企業が協力し、3D コマースとして知られる管理されたオープンな開発によって、最先端の小売体験の進歩を加速させるため、標準やガイドラインを策定しています。

3D コマースとメリットで需要を喚起する

2 次元での小売は、前述の 20 世紀初頭に増加した通信カタログ販売から始まりました。このトレンドの中核にあるのは、情報へのアクセスでした。消費者に利便性をもたらし、製品の在庫状況やブランドの評判に基づいて購入を決断できるようになったのです。現在、情報へのアクセスはインターネットによって一般的になり、消費者は製品や小売業者に関する詳細な情報とレビューを探して見つけることができます。e コマースの分野では、Shopify や Etsy などのプラットフォームを利用して、インターネット上にデジタル ストアを開設することがこれまでになく身近になりました。情報への広範なアクセスとテクノロジーが融合して、e コマース分野のイノベーションを推進しています。

業界の進歩によって、小売業者が競合他社に対して差別化できる新たなタイプの顧客体験が生み出されています。消費者は利便性と魅力の両面で一般化された 3D の小売体験により、小売業者には、コスト削減およびスピードの向上に集中できるというメリットがあります。設計から販売までのプロセスが短縮されたことで、在庫が製造される前に製品カタログを用意できます。「バーチャル ツイン」を活用して、小売業者はマテリアル、生地、カラーの選択を瞬時に入れ替えて、製品のさまざまなオプションを表現できます。

従来このプロセスでは、さまざまな製品オプションを使用して物理的な表現を作成する必要があり、膨大な物理的スペースと時間が必要でした。現在では、小売業者はあらゆる小売拠点に在庫を分散させる必要がなくなり、注文に応じて製造し、1 ヵ所に集約できるようになったので、在庫が低減、コストが最適化されました。e コマースを通じて魅力的な体験を提供することで、顧客満足度も向上し、購入増加につながります。また、小売マーケティングでは「バーチャル ツイン」の増加により、動きのあるコンテンツの表示やデジタル ファッション ショーなど、新たなチャンスへの道が開かれました。

画像提供:Mike Voropaev 氏

モノからデジタルへ:新製品のライフ サイクル

現在、製品の多くはスキャンや写真からの復元など、既存のサンプルからデジタル化されています。効率を最大限に高めるには、業界はこのような仮想化の方法から脱却し、製品のライフ サイクルの初めからデジタル ツインを導入する必要があります。デジタル形式のサイクルを取り入れた製品が増えるにつれて、テクノロジーは仮想バージョンのクオリティをさらに高める必要に迫られます。この業界が設計から製造という過去の考え方から離れ、設計から販売という現実に移行していくにあたって、ビジュアライゼーションがその鍵を握っています。今後、この業界は自動化プロセスや重複の削減など、デジタル製品の制作を最適化する新たな方法を模索していきます。

画像提供:Golden Vison Studio 社

3D コマースの課題と成長のチャンス

世界的な COVID-19 のパンデミックは、革新的な小売体験へのニーズをより一層高めました。消費者は、自宅から安全に、十分な情報に基づいて購入できる堅牢な e コマース プラットフォームを求めているからです。今や、3D コマースの重要性がかつてないほど高まっています。Wayfair や Shopify などの企業は、この数四半期の間に急激な成長を遂げ、株価も一気に上昇しました。最先端の e コマースの拡大は、アーティストにとってより安定した雇用機会につながり、新たな舞台で再び才能を開花させることができます。これまで映画、テレビ、ゲーム向けに投資してきたアーティストのスキルを、新たにリアルタイムの e コマース体験に適用できるので、有能な人材への需要を喚起し、最終的にはアーティストにとってチャンスの拡大や雇用の多様化につながります。

「業界の抱える課題によって、成長の機会がさらに増えるでしょう。」

幅広い表示プラットフォームにわたって一貫したビジュアライゼーションが求められるなど、業界の抱える課題によって、成長の機会がさらに増えるでしょう。現在、多くのモデルは特定のプラットフォームを対象にした特定のコンテンツ作成ツールで制作されていて、リアルタイムの 3D インタラクション向けに最適化されていないモデルもあります。このような一貫性の欠如により、ユーザー エクスペリエンスが悪化し、顧客の購入決定に影響する可能性があります。3D モデルの一貫性が問題になるのは、この分野には多くのプレイヤーが参入しており、テクノロジーの民主化に伴い、小規模なプレイヤーでも新たなチャンスをつかめるようになったからです。共通要素を見つけて整理することも、製造元、小売業者、テクノロジー プロバイダーにとって同様に課題になっています。

3D グラフィックス テクノロジーの発展を後押しするため、非営利団体である Khronos Group は、仕様および標準の開発と導入に取り組んでいます。3D コマースの場合、これには小売アプリケーションや e コマースに直接関係する標準が含まれます。この業界は、映画、テレビ、ゲーム エンジンのテクノロジーを新たな業界とマーケットの問題に適用するため、新たな方法を導入しているからです。

ビジュアライゼーションの課題を克服する業界標準を確立する最初のマイルストーンとして、Khronos Group は包括的なリアルタイム アセット作成ガイドラインのセットを発表しました。これにより、複数のプラットフォームやデバイス環境での提供に向けたアセットの開発を合理化できます。このようなプロトコルを活用すれば、より多くの小売業者が業務を外注し、世界中の人材にとってはチャンスが増えて、コンテンツの需要を満たせるでしょう。これはまだ始まりに過ぎません。Khronos Group と 3D コマースのワーキング グループは、業界の主要な課題を解決するため、その他の標準の開発にも積極的に取り組んでいます。

 

画像提供:Anastasia Reese 氏

3D コマースのリーダーとしてのオートデスクの位置付け

オートデスクは、購買の未来のあり方をデザインする最前線にいます。新たな 3D コマースの体験と機能はオートデスクのツールによって実現し、製品ライフサイクルの設計と製造の段階を超えて販売段階にまで拡大しているからです。オートデスクは、製品のデジタル ツインを取り入れた物理的な小売体験で消費者を惹きつける、革新的な方法の先駆者である小売業界のリーダーと連携しています。このような取り組みの一環として、マーケット リーダーは小売の未来と広範なデジタル ストアを担う事業部を維持しています。そして、小売体験の変革は間違いなく、望むべき方向です。

オートデスクは今後も、最先端の小売体験のためにビジュアライゼーションの未来をけん引し続けます。新たな進歩によって製品のマーケティング、販売、購入方法に根本的な変化が起きつつある中、3D コマースを含む取り組みに参加し、パートナー企業と連携して、この業界のさらなる発展をめざします。